メルボルン大学の科学者たちが新たなアルゴリズムを編み出し、量子コンピューティングのシミュレーションに必要なメモリを大幅に削減。量子コンピュータの実現にまた一歩近づいた。
オーストラリアのメルボルン大学の科学者たちは量子コンピューティングの威力を知るため、計算を完了するにはPC 10億台分以上のメモリを必要とする数学の問題を解くシミュレーションをスーパーコンピュータで実施した。
量子コンピューティングは、複数の状態のデータを符号化し処理するアトムで表される量子ビットを使って問題を解決する。一方「従来型」のコンピュータは、1と0で表されるバイナリビットで処理を進める。
同大学量子コンピューティングおよび通信技術センター(the Centre for Quantum Computation and Communication Technology)の副所長ロイド・ホレンバーグ教授の指導下で、科学者たちは60量子ビットの量子コンピュータの出力をシミュレートした。パースのPawsey Supercomputing Centreで行われたこのシミュレーションには、従来型コンピュータのメモリを最大1万8000P(ペタ)B使用したと推察される。
今のところ、最先端の量子コンピュータでも50量子ビットのランダム状態をシミュレートすることしかできないが、ホレンバーグ教授のチームは特殊なアルゴリズムを実行することで新たな地平を切り開いた。量子の状態はもはやランダムではなく、必要なメモリも13.8TBに減らすことができたという。
このアルゴリズムは「乗算すると半素数である96万1307に等しくなる2つの素数を見つける」というもので、同大学の大学院生エイダン・ダン氏が作成した。
この問題は、インターネットセキュリティの中枢部分にある。そこに桁数の非常に多い、大きな値が使われるからだ。そのセキュリティキーを突破する因数を計算で求めることは、従来型のコンピュータでは事実上不可能だ。最近発表されたレポートの中で、同大学はこのように説明している。
このレポートにはまた、次の記述もある。
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