Computer Weekly製品ガイド
クラウドコスト管理の鍵は優れたガバナンスにあり
適切なチェックと管理を行わなければ、クラウドのコストはいとも簡単に制御不能に陥る。請求書に書かれた金額に仰天する前にやるべきこととは?
クラウドを使うメリットは十分に周知されているが、多くの企業はいまだにコストの抑制に苦慮している。だがどんな規模であっても、導入を成功させるためにはそれが重要な鍵を握る。
理解して実行すべき最も重要な側面は、適切なクラウドガバナンスが何で構成されるのかを最初に見極めるとともに、誰が収支を管理していて、誰がクラウドリソースの消費を許可されているかを把握することにある。
とはいえ、誰かが全ての仮想マシン(VM)を一つ残らず把握して許可する必要はない。だが、プロジェクトの承認やリソースの限度を決める責任者を最初に決めておくことは重要だ。プロジェクトが道を誤る原因は多くの場合、関与する人数が多過ぎることにある。それは方向性に影響を及ぼし、管理を混乱させ、インフラ全体が道を外れる原因となる。
適切な規模の仮想環境
ガバナンスの一環として、このプロジェクトにはさまざまな条件に対する設計や構成についての詳細を含める必要がある。鍵を握るのは仮想環境を適切なサイズに保つことだ。予想される月額の明細を含め、設計を詳しく精査することが重要だ。そうすれば、6桁の請求書が届いても誰も文句は言えない。
各プロジェクトは管理職に提出して承認を受ける。その承認は、クラウド導入の許可につながる。基本的にはこれで、クラウドで何かを始める前に、人とプロセスの準備が整うことになる。
技術的な観点からは、クラウドを自動化すれば、定められた数値に基づいてリソースを管理でき、開発者がその日の仕事を終える時点でインフラの電源を落とす責任はなくなる。多くのクラウドプラットフォームは初期設定でこの機能が提供されており、その使い方を覚えれば、企業が多額のコストを節約する助けになる。
クラウドガバナンスの責任者は、IT関連の問題と同様に、ビジネス関連の問題も重視する必要がある。それによってプロジェクトに理性が注入される。
ありがちな問題として、1つのグループがクラウドプロジェクトを開始して、そのクラウドに冗長性などの機能を含めた何もかもが必要だとみんなで決める。それから請求書が届いた時点で、突如として全ての実装を大幅に後退させる。もしプロジェクトが最初から適切に熟考されていなければ、瞬く間に年間100万ユーロ(約1億2700万円)がいとも簡単に吹き飛ぶこともある。
DevOpsではリソースの限度を最初から定めておかなければならない。そうすれば、開発者も管理者も提供されたリソースを慎重に消費するはずであり、チームが必要とする場合は増やすよう申請できる。
料金を負担しない人物がクラウドを使いまくることもありがちだ。アクセス権を事前に定めたテンプレートに限定しておけば、誰かがリソースを自由気ままに使い過ぎる事態は防止できる。
そうした問題に対する予防策を講じておけば、直接的なコストの削減につながり、ユーザーの期待をコントロールする助けになる。
大量のリソースを使用する組織のために、Amazon Web Services(AWS)はエンジニアリング時間を提供して、その企業のクラウド構成の最適化を支援している。これには通常、関連コストは伴わない。顧客が満足すればもっと使ってもらえることを、AWSは知っている。
新しいクラウドの冒険に乗り出す企業にとってはこれでうまくいくかもしれない。一方で、既にクラウドを使っている企業の場合はどうなのか。ここでもまた、クラウドに関するガバナンスの確立が鍵を握る。
それなりのクラウドプロジェクトであれば、構成管理データベースがあるはずであり、そこには各VMやシステムの所有権に関する詳細などの事項が記録されている。所有権を確立しておけば、長期的な観点から、事が容易になる。だがそれがなければ、VMや問題のあるサービスのことを把握する者がいないまま、VMが放置された状態で稼働し続ける事態に陥る。
新しい世代のVMインスタンスを定期的に評価・使用することは、あまり頻繁には行われていない。その一例として挙げられる「Azure Virtual Machines Bシリーズ」は、基本的に短時間にフル稼働するVMを配備するためのものだ。Bシリーズを利用すれば、高スペックのマシンと同程度のパフォーマンスを安いコストで利用できる。
もう一つありがちな問題として、大抵の場合はクラウド事業者のデータベースエンジンを使う方がずっとシンプルで安く上がるにもかわらず、データベースサーバを設置してしまうことがある。
同様に、開発マシンのコントロールも大切だ。常識として、夜間はそうしたマシンの電源を切っておく必要がある。中にはこの問題に対応するため、(良しあしはともかく)夜間はプロダクションマシンの電源を切る措置を講じている企業もある。
インスタンスの事前調達
特定のタイミングで一定量のリソースが必要になることが分かっている場合、割引を利用して事前にインスタンスを調達しておくのも合理的だ。
リアルタイムでクラウドの利用と消費をチェックしながら、規模の適正化を図れるツールもある。
Emboticsのような企業は、VMのパフォーマンス履歴やスマートコードなど、VMが提供する指標を使って規模の適正化をサポートする。これらはその後、提案を添えてアプリケーションに盛り込まれる。
もし望めば、そうした変更を自動的に実装することもできる。パブリッククラウドの場合、メモリやCPUの変更ができないことからやや制約は多いが、プライベートクラウドであれば本当に役に立つ。
クラウドの真のコスト管理は、自分たちが支払う用意のあるコストに合わせてサイズを調整し、計画を立て、望ましいパフォーマンスを保ちながら出費を抑えるための新しいクラウド技術を賢明に使うことに尽きる。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Computer Weekly日本語版
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[株式会社うるる] 「入札市場」攻略ガイド:効率的に落札するためのポイントを徹底解説 -
製品資料
[株式会社うるる] 入札情報に特化した「販路拡大」「効率化」のためのサポートツールとは? -
市場調査・トレンド
[株式会社うるる] 公共入札に成功する企業と失敗する企業の「5つの違い」 -
製品資料
[日本ビジネスシステムズ株式会社] 専門家が教える、Microsoft 365の「テナント統合/分離」を成功に導く秘訣 -
製品資料
[rakumo株式会社] Microsoft 365での情報埋没を防ぐ、社内ナレッジを資産化する情報ポータル活用
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
半数がブルーカラー転向を視野に? ベテランエンジニアを追い込む“54歳の壁”
-
2
PHP脆弱性「PHP2Shell」で2260万件に影響 情シスの緊急チェックリスト
-
3
「Microsoft 365」が乗っ取られる MFAを破る“本物の画面”の恐怖
-
4
「Windows」の不要なファイルを安全に消して容量を空ける方法
-
5
なぜ「Gemini 4 Argon」は出遅れたのか? Googleが狙う“逆転のシナリオ”
-
6
ChatGPTは“検索しまくり”でGeminiは“淡泊”? データが明かすAIの裏側
-
7
「テザリング依存」に潜む落とし穴 “遅いVPN”を解消するネット構築術
-
8
積水化学工業が「SAP S/4HANA Cloud」の“全グループ導入”に踏み切った訳
-
9
データセンター事業者が「脱VMware」をした“例のライセンス問題”じゃない理由
-
10
OpenAIやAnthropicでさえ制御不能 2026年夏「3大サイバー攻撃」の衝撃
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
AI駆動攻撃にどう対抗する? 超速の攻撃からエンドポイントを保護する方法
-
2
2026年のサイバーセキュリティには何が必要か? 最新データに学ぶ傾向と対策
-
3
経験豊富な即戦力人材に直接アプローチできる、「攻めの採用」への転換術
-
4
「IT史に名を残すシステム障害」8選
-
5
最速72分でデータが流出? 最新の脅威トレンドや侵入手法から分かった防衛策
-
6
不審メールの経路や見せ方に変化? 2026年夏の3事例から見えた動向と対処方法
-
7
Microsoft 365のメールセキュリティ、3つの“死角”と追加で検討すべき対策とは
-
8
AI駆動開発のスピードと安全性を両立 「品質・セキュリティ管理」の実践ガイド
-
9
HDDを使わない「SSDオンリー」が無謀なのはなぜ?
-
10
「標的型攻撃メール」事例・サンプル集
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー