パブリッククラウドからオンプレミスにアプリケーションを戻す動きが広がっているという調査結果が発表された。これは何を意味するのか?
多くの企業が、アプリケーションをパブリッククラウドからオンプレミスのデータセンターに戻している。これは調査会社Vanson BourneがNutanixの委託を受けて実施した調査の報告書「Nutanix Enterprise Cloud Index 2019」で明らかにされている。
この調査はIT意思決定者2650人を対象に行われた。その調査報告書によると、回答者の4分の3近く(73%)が幾つかのアプリケーションをパブリッククラウドからオンプレミスに戻したと答えている。そのうち約5分の1(22%)は5つ以上のアプリケーションを戻したという。
アプリケーションをパブリッククラウドからオンプレミスに戻したと答えたIT意思決定者は、従来型データセンターの利用が急増したと話している。
オンプレミスデータセンターに戻されるアプリケーションには、デスクトップとアプリケーション仮想化、CRMとERP、データ分析とビジネスインテリジェンス(BI)、データベース、開発とテスト、データのバックアップとリカバリーなどがある。
Nutanixによると、パブリッククラウドからオンプレミスへの回帰は、企業がハイブリッドクラウドの柔軟性を必要としていることを明確に示しているという。こうした柔軟性によってコスト、パフォーマンス、セキュリティ/コンプライアンスなど、時間の経過と共に変化する可能性のあるさまざまな要素に基づいて、自社のインフラを適合させることができる。
調査に答えたIT意思決定者の85%あまりが、「ハイブリッドクラウドは自社にとって理想のITモデルである」という設問に「そう思う」または「強くそう思う」と答えている。適切なクラウドを各アプリケーションやユースケースに適合させる柔軟性がある(62%がハイブリッドクラウドの主なメリットに挙げている)ことや、ハイブリッドモデルに関連する高いセキュリティレベルが広く知られていることなどがその理由に挙げられた。
NutanixのCIO(最高情報責任者)を務めるウェンディー・ファイファー氏は次のように話す。「企業が複雑なデジタルトランスフォーメーション戦略に取り組む中で、シームレスで確実なクラウド導入を可能にするには、柔軟性とセキュリティが不可欠な要素になる。企業はハイブリッドクラウドへの理解を深めて導入を進めている。だが、ハイブリッドクラウドのメリット全てを手にするにはまだやるべきことが残っている」
「企業は新たに出現する技術に遅れずについていくために、今後数年の間に技術者の雇用やITチームの再教育など、ハイブリッドクラウドを最大限に生かす方法を再考することになるだろう」(ファイファー氏)
IT意思決定者の49%は、パブリッククラウドの予算を何とかやりくりすることができたと回答した。だが29%はパブリッククラウドの支出に関して「予算をやや超過した」ことを認め、6%が「予算を大幅に超過した」と回答した。
Nutanix Enterprise Cloud Index 2019において、ミドル・テネシー州立大学でシステム管理者として働くブラッド・マイヤー氏が次のように述べている。「パブリッククラウドはDevOpsとテストのコスト効率が最も優れているように思われる。だが最大の問題は、開発者がクラウドのサーバを使い終わってもそのまま放置することで、隠れたコストが残ることだ」
IDCでインフラシステム、プラットフォームおよびテクノロジー部門のグループバイスプレジデントを務めるアシシュ・ナドカルニ氏は次のように述べる。「クラウドはビジネス戦略に欠かせない要素になった。だが、同時に幾つか課題ももたらす。ハイブリッドクラウドは引き続き企業にとって最善の選択肢であり、ワークロードのモダナイゼーションとアジリティーの要件を安全に満たすことができるだろう」
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