Slackはメッセージングツールの枠を超えた存在になろうとしている。サードパーティーアプリケーションとの統合もその動きの一つだ。Slackは他に何をしているのか、最新動向を紹介する。
「Slack」は1200万人ものユーザーベースを抱え、従業員が社内外でコミュニケーションを取る方法を大きく変えている。Slackユーザーがこのメッセージングツールを操作する回数は毎週50億回にも及ぶ。アジア太平洋地域では、日本、オーストラリア、ニュージーランドだけでもアクティブユーザー数は128万人に達する。
だが、Slack TechnologiesはSlackを単なるメッセージングツールとは捉えていない。APIを使って「SAP Concur」などのエンタープライズアプリケーションと統合することで、従業員が毎日利用するソフトウェアの重要な機能にアクセスできる1つのワークスペースを用意する。
例えばConcurを経費管理ツールとして使っている場合、Slackで経費を記録できる。ただし経費報告書を提出するには、ConcurのモバイルアプリケーションかWebサイトを利用する必要がある。
サードパーティー製のアプリケーションの方が適切に行えるタスクがあると考えているため、こうしたことを意図的に行っている。本誌のインタビューに答えてそう語ったのは、Slack Technologiesでデベロッパーリレーション部門のディレクターを務めるベアー・ダグラス氏だ。「Slackが本当に力を発揮するのは、何が起きているかについて人々が話し合う必要があるときだ」と同氏は話す。
ダグラス氏は、作業者がSalesforceダッシュボードを作成した例に挙げた。タスクがSalesforce自体で行われているとしても、同僚はSlackのスレッドでそのダッシュボードを参照できると述べた。
「当社がパートナーに構築するよう勧める統合は、経費報告書の承認のようにサードパーティー製アプリケーションの強みを必要としない作業をユーザーが調整できるようにすることだ」(ダグラス氏)
ダグラス氏によれば、Slackに統合されるアプリケーションをユーザーが見つけやすくなるように、インストール済みのアプリケーションを表示するアプリランチャーを開発中だという。
またSlack Technologiesは、最近開催したデベロッパーカンファレンスで「Actions From Anywhere」(どこからでも操作)という考え方を掲げた。これは、ユーザーはキーワードを使ってタスクを開始できるという考えだ。「例えば『expense』(経費)と入力すれば、経費承認を可能にする操作が起動される」とダグラス氏は話す。
Slackは従業員のコミュニケーションを助け、オフィスの生産性を高めるだけではない。企業がパートナーや顧客などの社外関係者とコミュニケーションを取るためにも使われている。
「顧客サポートの分野に興味深いことを取り入れている企業もある。そこでは共有チャネルを作成して顧客サポートの質問に答え、パートナーとコミュニケーションを取っている」とダグラス氏は述べ、この共有チャネルは既に2万社が利用していると補足する。
サードパーティー製アプリケーションとの統合を促し、ユーザーエクスペリエンスのレベルを上げることを重視するSlack Technologiesの取り組みは、ライバル企業Microsoftに対抗する鍵になっている。Microsoftは最近、「Microsoft Teams」と「Microsoft Outlook」の新たな統合とプライベートチャネルの導入を明らかにした。このプライベートチャネルはSlackが既にサポートしているものだ。
Slack TechnologiesはMicrosoftのように自社の地位を高めるため、データレジデンシー機能を発表した。この機能でデータを保管する国や地域を選択することで、企業はコンプライアンス要件やデータ主権に関する要件を満たすことができる。
米国外で利用できる最初のデータ保管地域はドイツのフランクフルトになる予定だ。2020年第1四半期には日本とオーストラリアにもデータ保管地域を展開することが計画されている。
ダグラス氏によると、企業やソフトウェアのサードパーティーサプライヤーが抱える潜在的なセキュリティへの懸念についての対処として、Slackからサードパーティー製アプリケーションに送られる要求を検証するためにSSL暗号化、検証トークン、相互TLSなどの保護策を取っているという。
Slack TechnologiesのセキュリティプログラムはISO 27001、Service Organization Control(SOC)3など、多くのセキュリティ規格を使って自社のサービスの認定を行っている。さらに、同プログラムは業界固有の規制やヨーロッパの一般データ保護規則(GDPR)のような国際データプライバシー規格を企業が満たせるよう支援する予定だ。
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