調査の結果、コラボレーションツールの恐るべき利用実態が明らかとなった。コラボレーションツールにも適切なコントロールを適用しなければ、致命的な事態を引き起こす恐れがある。
英国で約800人の労働者を対象に、職場でのコラボレーションツールの普及に関する調査が行われた。結果、その3分の1の労働者がコラボレーションツールを使って顧客データを送信したことがあると答えた。
チームコラボレーションツールを提供するSymphony Communication Servicesが独自に行ったこの調査によると、人事や支払い明細などの個人情報を共有したことがあると答えた労働者は4分の1に上るという。21%はコラボレーションツールを使って自社の財務情報を送信したことがあると答えた。
この調査が示すように、英国の労働者はチームコラボレーションツールへの信頼を高め、ビジネスに利用する機会が増えている。こうした労働者はコラボレーションツールを使って個人情報を送信している。その94%はコラボレーションツールで共有した情報が外部に漏れることはないと考えている。一方、雇用主が独自に掲げるITセキュリティガイドラインを認知すらしていないことを認めた労働者は24%に上る。
調査レポートは、コラボレーションツールの多くがエンドツーエンドの暗号化によって保護されていないにもかかわらず機密データの送受信に使われていることから、セキュリティ知識に憂慮すべきギャップがあることを懸念している。
「働き方が変わろうとしている」と話すのは、Symphony Communication Servicesで最高エクスペリエンス責任者(CXO)を務めるジョナサン・クリステンセン氏だ。「コラボレーションツールなどのイノベーションは、柔軟性の向上と優れたワークライフバランスを実現するプラスの効果をもたらす。だが職場のコミュニケーションや一般にいうデジタル習慣に寛容な対応を取ると、大きなセキュリティリスクも生まれる」
「労働者自身はセキュリティ対策を維持しないだろう。そのため、メッセージングやコラボレーションのツールを使って労働者同士がコミュニケーションを取る場合は、メールと同様に安全性を確保する方法を雇用主が考えなければならない」(クリステンセン氏)
他にも雇用主にリスクをもたらす傾向があることが分かった。回答者の51%が、コラボレーションツールを使って社交の予定について話し合い、44%がミーム(ネットネタ)や写真を共有し、18%が同僚をデートに誘っていた。
顧客の悪口を話したことがあると認めた労働者も29%に上る。また19%が、悪意ある人物の手に渡れば雇用主が恐らく金銭的な損害や風評被害を受けるにもかかわらず、これらのツールでクレジットカード情報を共有したこともあると答えている。調査レポートはこれを受けて、コミュニケーションの容易化によってコミュニケーションに対する職場の姿勢が寛容になるというリスクが生まれると懸念を表明している。
クリステンセン氏は次のように語る。「コラボレーションツールでの会話は円滑に進むため、チームの団結力と生産性を高めるのに大変役立つ可能性がある。だが、不用意な会話が機密情報を無計画に扱うことにつながらないようにしなければならない」
「メールや電話と同じように、適切な監視と調査のツールを導入して情報漏えいを確実に防ぐことが、特に規制の厳しい環境においては不可欠だ」
コラボレーションツールは、生産性を高める方法として認識されているだけでなく、テレワークを容易にすると考える労働者が79%にも上る。こうした考えもセキュリティに懸念をもたらすという。これらのツールへのアクセスに私用PCを使っていることを39%が認めている。また40%が会社支給の携帯電話を利用しているのに対し、49%が個人の携帯電話を使っていた。公共施設で利用できるPCを使っていると認めた回答者も10%に上る。
「ツール内のメッセージや関連ドキュメントにあらゆる端末からアクセスできれば、仕事の円滑化に大いに役立つ。だが、信頼性の低い端末からのアクセスを有効にする場合でも、企業のセキュリティ、コンプライアンス、データのポリシーの適用は不可欠だ」
「プライベートと仕事を分ける境界線はますます曖昧になる。これは生産性とワークライフバランス向上につながる一方、セキュリティの懸念も増え、雇用主のリスクは大きくなる」(クリステンセン氏)
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