メール増加の弊害から、各種コラボレーションツールの利用が広がった。だが、本当に生産性は向上したのか。コラボレーションツールが「第2のメール」になっているのではないか。
コラボレーションツール「Slack」のユーザー数が1日当たり800万人を突破した。またチャットツール「Microsoft Teams」は20万社を超える企業が利用している。こうしたツールが人気を集めているが、本当に宣伝通りに生産性を上げているのだろうか。
電子メールの増加が英国労働者の生産性を下げていると報告されたのは2015年のことだ。電子メールへの依存度が高くなると、不要なメッセージの対応に追われて自身のプロジェクトに専念できなくなる。結果、企業の生産性が落ちるという論旨だった。
それ以来、電子メールが人々の精神状態や社会福祉に与える影響についての研究が数多く実施され、「テクノストレス」という全く新しい心理学の分野も形成されている。
「電子メールは最も有害だ」という観察結果を語るのは、マンチェスター大学の組織心理学教授のケイリー・クーパー氏だ。「電子メールは人々の私生活、社会生活、休日を阻害し、生産性に大きな影響を与える」
電子メールがもたらす影響が叫ばれて以来、職場でコラボレーションツールの導入が増えるのを目の当たりにしてきた。企業はSlackや「Skype for Business」などのビジネスメッセージングアプリから、「GitHub」や「Asana」などのプロジェクトコラボレーションツールまで、たくさんのオンラインツールの中から好みのものを選べる。
Clarizenが2017年に発表したコラボレーションテクノロジーに関する調査結果で特筆すべきなのが、コミュニケーションを改善する措置を取っているにもかかわらず、プロジェクトの進捗(しんちょく)を常に把握したり管理監督したりする方法をいまだ持ち合わせていないと答えた回答者が81%もいたことだ。
コラボレーションツールの目的は生産性の低下を回避することだが、不適切に使用すると図らずも生産性をさらに悪化させてしまう恐れがある。つまり、多くのチャネルからたくさんのメッセージが送信されると、仕事への集中力が大きくそがれる。
Glass Onionの共同創設者であるイアン・アームストロング氏は次のように話す。「ソーシャルコラボレーションツールが原因で生産性が急激に低下しているのは間違いないと思う」
だがコラボレーションツールにもメリットはある。
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