プロンプトエンジニアは、生成AIに望ましい回答を出力させるプロンプトを作成する職種だ。その具体的な役割を3つ紹介する。
プロンプトエンジニアは、生成AI(AI:人工知能)ツールに望ましい回答を出力させるためのプロンプト(質問や指示)を作成するエンジニアだ。ただし、プロンプトエンジニアの役割は、プロンプトを作成するだけではない。他にどのような役割があるのか。プロンプトエンジニアの具体的な役割を3つ紹介する。
生成AIが適切な回答を生成するように、新しいプロンプトを設計する。設計したプロンプトを入力した際の生成AIの出力をテストし、プロンプトを改善する。生成AIが予期しないプロンプトに対し、適切な回答を出力できるように、ガードレール(予防策)を設けることも重要だ。
医療AI分野のプロンプトエンジニアであれば、患者の診断内容を問い合わせるプロンプトを作成する際、患者名や医療用語のスペルミスがあった場合に生成AIがどのように応答するかをテストする。その後、生成AIが適切な診断内容を回答できるようにプロンプトを改善する。
通常、プロンプトエンジニアはシステム開発部門の一員としてコンサルティングや品質管理を担う。AIシステムの設計やコーディングを実施する開発者や、データセットを作成してAIシステムを訓練する部門、AI活用に関わる業務部門と連携する。
プロンプトエンジニアは、企業の目標やエンドユーザーのニーズに合わせてプロンプトを改善する。医療分野であれば、医療従事者や患者のニーズに応える。生成AIが医療用語の使い方を適切に理解できているかどうか、患者のデータや診断結果を分かりやすく提示できているかどうかといった観点から、プロンプトの改善に取り組む。
プロンプトエンジニアに必要な能力の一つに分析能力がある。入力したプロンプトと出力された内容の相関関係を分析し、AIシステムの動作や性能を評価する。
「Garbage In, Garbage Out」(ゴミを入れたら、ゴミが出てくる)という言葉がある。コンピュータサイエンスにおける格言の一つで、入力したデータの品質が悪ければ、出力されるデータの品質も悪くなるという原則を指す。AI分野では重要な原則だ。
この原則に沿った場合、プロンプトエンジニアの役割はどのようなものか。まず、特定のプロンプトに対する生成AIの出力を分析し、バイアス(偏見)の兆候があれば関係各所に警告する。出力内容からデータの欠落が明らかになったり、予測不可能な結果を出力したりする場合もある。そうした場合、追加の訓練やデータの見直しの必要性を訴えるのがプロンプトエンジニアの役割だ。
次回は、プロンプトエンジニアに必要なスキル5選を紹介する。
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