AI認定資格の取得は本当にキャリアに役立つのか、懐疑的な意見がある。AI認定資格のメリットとデメリットについて触れ、適切なAI認定資格の選び方について説明する。
2022年以降、OpenAIのAI(人工知能)チャットbot「ChatGPT」や画像生成AI「DALL-E」をはじめとするAIツールが、社会現象とも言えるほどの反響を呼んだ。汎用(はんよう)的なものだけでなく、医療、研究、経済など専門分野に特化したAIツールも登場している。
運用現場では、AIツールを扱える経験豊富な技術者のニーズが高まっている。この状況は、労働者と雇用者の双方にとって重要な問いを投げ掛けている。「AI分野で意義のある仕事に就くためには、どのようなトレーニングが必要で、そのトレーニングには本当に価値があるのか」というものだ。
認定資格は、特定の科目に関するコースを修了したことや、必要な知識やスキルを備えていることを、試験を通じて示すものだ。認定資格は学位よりも取得までの期間が短いのが特徴だ。
IT業界では、長年にわたりさまざまな認定資格が提供されている。コンピュータ技術産業協会(CompTIA)や米国国立標準技術研究所(NIST)といった業界団体が推進するものもあれば、特定の製品についてスキルや知識を証明するためのベンダー固有のものもある。
一方で、こうした認定資格を取るべきか否かは、しばしば議論の的になっている。学位は厳格な学問的基準に基づいて授与されるが、認定資格にはそのような確立された基準が存在しない。どのベンダーや団体でも認定資格を作成できるため、難易度や教育的効果、そして従業員と雇用者にとっての価値は大きく異なる可能性がある。
それでも、求められるスキルや知識が急速に進化する分野において、認定資格の取得は基本的なスキルを示す上で役に立つ。雇用者にとって、採用候補者のスキルを見極める際に認定資格は重要な判断要素となり、従業員のキャリアアップにおいても重要な役割を果たす。
AIに関する適切な認定資格を選ぶ上で、最適な選択は人それぞれ異なる。選択に当たっては、以下のようなポイントを考慮することが重要だ。
長期的なキャリア目標に役立つ認証を選ぶ。例えばデータサイエンティストなら、データ品質の確保や、機械学習用のデータセットにおけるバイアス管理といった技術を扱う認定資格を取得するのがよい。
コースの概要を十分に確認して、認定資格プログラムの範囲と対象を把握する。もしそのコースが学習者や企業にとって重要な領域をカバーしていない場合、別の認定資格を検討した方がよい。
認定コースで学習した内容は、ビジネスの現場で応用できることが好ましい。自社のAIプロジェクトに活用できる、実践的かつ現実的な内容に焦点を当てたコースを選ぼう。過度に複雑だったり理論的だったりする実用性に欠ける認定資格は避けるべきだ。
講師によるコースは、自己学習型のコースよりもより高い学習効果を得られる傾向がある。専門知識を持った講師陣ならば、難しい質問にも答えることができるだろう。
認定資格の良しあしは、提供元の評判で判断できる場合がある。適切に設計されたコースや、客観性に優れたテストを提供する認定資格を取得すれば、より多くの組織で評価されるようになる。
次回は、AI認定資格を検討する前に注意すべきリスクについて解説する。
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