「DMP」は「脱サードパーティーcookie」の動きに対処するために、どう変化すべきなのか。DMPの今後を占う上で重要になる、主要なトレンドを整理する。
「DMP」(データマネジメントプラットフォーム)はこれまで「サードパーティーcookie」に依存してきた。サードパーティーcookieは、表示中のWebサイトの運営企業とは異なる企業が設定したcookieだ。サードパーティーcookieの利用を廃止する動きが広がる中、DMPベンダーはさまざまな手段で、この動きに対処しようとしている。DMPの主要な4つのトレンドのうち、2つ目から4つ目を紹介する。
GoogleがWebブラウザ「Chrome」でサードパーティーcookieを廃止すると、マーケターは顧客データに関するデータパイプライン(データの収集から活用までのプロセス)を変えざるを得なくなる。DMPベンダーは利用可能なデータソースを拡充し、各種データを組み合わせて、顧客に関する包括的な可視化を実現可能にする必要がある。例えばWebサイトやPOS(販売時点情報管理)システム、モバイルアプリケーションなど、オンラインとオフラインを含めたあらゆるデータソースをDMPで活用できるようにし、さらには人口統計データも使うことによって、データを充実させるのだ。
DMPの未来は、ユーザー企業のWebサイトのCX(顧客体験)を改善し続けることができるかどうかにかかっている。CX改善には、Webサイトの運営企業が、顧客データを収集する理由を説明することも含まれる。Webサイト運営企業は隠し事をしてはいけない。さり気なく顧客データを得ようとするのではなく、顧客データを得る見返りを顧客に提供すべきだ。企業のCXチームは、顧客のオンライン体験を個別化し、何があれば快適になるかを顧客に尋ね、それを迅速に提供すればよい。
顧客の識別と、そのための同意獲得を適切に進めることによって、マーケターは顧客を識別しやすくなる。そうすればマーケターは顧客一人一人の優先事項に応じて、より動的にメッセージを発信できる。
DMPはウォールドガーデン(注)と同様の考え方を採用できる。「顧客は皆、あちこち移動することなく、1カ所にとどまりたいと考えている」と見なす、企業主導の考え方だ。サードパーティーcookie廃止後の世界では、顧客に直接関与する存在感の大きい企業が、最もしっかりと顧客を理解できる。Webサイト運営企業が設定できるcookieである「ファーストパーティーcookie」などのファーストパーティーデータを使ったDMPは、こうした企業のマーケターにとって、これまで以上に強力な武器になる。
※注:壁に囲まれた庭。一般的には「Facebook」や「Google」など、自社のサービス内にエンドユーザーを囲い込む巨大サービス群を指す。
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