「Chrome」などの主要Webブラウザがサードパーティーcookieの利用を停止することを受け、企業はターゲティング広告を実現する手段を再考しなければいけなくなった。代替となる3つの手段とは何か。
エンドユーザーの訪問先Webサイトと異なるドメインが発行したcookieであるサードパーティーcookieは、ターゲティング広告の主要な手段だ。「Chrome」をはじめとするWebブラウザがサードパーティーcookieの利用を停止することを受け、広告業界は対処に追われている。サードパーティーcookieの代わりになり得る、主要なターゲティング広告の手段を紹介する。
デバイスフィンガープリントは、エンドユーザーのデバイスの特徴を基にエンドユーザーを特定する技術で、サードパーティーcookieを模した機能を提供する。エンドユーザーのデバイスに保存されるcookieとは異なり、デバイスフィンガープリントはWebサイトをホストするサーバのデータベースに保存される。デバイスフィンガープリントでは、エンドユーザーがWebサイトを訪問するとトラッカーがデバイス情報を収集し始める。このトラッカーは通常、スクリプト言語「JavaScript」で作成したスクリプトだ。
コンテキストマーケティングはコンテキストターゲティングとも呼ばれるマーケティング手法だ。エンドユーザーの属性ではなく、エンドユーザーが見たコンテンツに合わせた広告を掲出する。例えばエンドユーザーが健康関連の情報を読んでいるとき、同じWebサイトでエクササイズ機器の広告を表示するといった具合だ。リード(見込み客)生成サービスを提供するAsterisk Marketingのフィリップ・パスマ氏は、コンテキストマーケティングを「サードパーティーcookieが廃止されても、将来にわたって利用できる」と評する。
コンテキスト分析はコンテキストマーケティングを支える技術であり、しばしば人工知能(AI)技術を活用する。「コンテキスト分析は動画広告の効果を高めることができる」と、Longtail Ad Solutions(JW Playerの名称で事業展開)でパートナーシップおよびデータ担当のゼネラルマネジャーを務めるマイケル・シュワルブ氏は語る。同社は、Webページに動画を埋め込むための動画プレーヤーソフトウェアを手掛ける。
「これまでAI技術は動画内の物体、人物、言語などを特定する能力により、動画の正確な分析を可能にしてきた」とシュワルブ氏は言う。同氏はいずれAI技術が、サードパーティーcookieでは不可能だった方法で、エンドユーザーの動向に応じて動画を細かく分類できるようになると考える。「そうして分類した細かいカテゴリーに沿って、広告枠を広告主に販売できるようになる」と同氏は予想する。
開発が始まって間もない代替手段が、Googleの「Topics」だ。Topicsは、エンドユーザーが過去3週間に訪問したWebサイトに基づき、エンドユーザーを興味や関心に応じて匿名の状態で分類する仕組みを持つ。企業はTopicsを使うことで、サードパーティーcookieを利用できなくなってからも引き続きターゲット広告を提供できる。
Topicsは「FLoC」(Federated Learning of Cohorts)に代わるものだ。FLoCは、Googleがサードパーティーcookieの代替として開発していた技術だが、提供には至らなかった。Googleは2022年前半に、開発者向けにTopicsの試用版を提供開始するという。
Chromeでのサードパーティーcookie廃止は、デジタル広告の終わりを告げるものではない。とはいえ企業は戦略を見直し、顧客にリーチするための代替手段を検討する必要がある。
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