サードパーティーcookie廃止がIT部門にもたらす影響【第1回】
“脱サードパーティーcookie”でデジタル広告はどう変わる?
サードパーティーcookieの使用を禁止する動きが始まった。競争力を維持したい企業は、顧客を識別するための新しく強力な手段の検討を迫られている。
世界的なパンデミック(感染症の世界的大流行)に政権交代、気候変動の加速、オオスズメバチの米国上陸……。不安の種は尽きることがない。加えてマーケターには現在、サードパーティーcookie廃止という重大問題が襲い掛かっている。
併せて読みたいお薦め記事
ポストcookie時代のマーケティング戦略
- いまさら聞けない「cookieによるトラッキング」の基礎 なぜ制限されるのか?
- 「ファーストパーティーデータ」はターゲティング広告に使えるか
- 個人情報不要の「コンテキストターゲティング」はデジタル広告を変えるか
データに基づく顧客理解
IT管理者も知っておきたい「脱サードパーティーcookie」のトレンド
簡単に説明すると、新しい個人情報保護ルールに基づき、Webブラウザベンダーがサードパーティーcookie(ユーザーが閲覧したWebサイト以外の第三者に送信するcookie)の利用を禁止することにしたのだ。広告主はこれまで、サードパーティーcookieを個人のターゲティングやWebサイト間の閲覧者トラッキング、広告表示と購入の関連付けに活用していた。
小さな技術仕様の変更にすぎないことに、なぜそんなに慌てふためいているのか――。専門外の人から見れば理解できないかもしれない。この一連の動きの影響を受ける広告主やパブリッシャー(広告枠の提供者)は、それぞれの業界の大々的な再構築を迫られるため、戦々恐々としているのだ。
サードパーティーcookieを別の技術に置き換える作業の大部分は、パブリッシャーや広告代理店、業界団体の専門家が担うことになる。しかし、その結果は最終的に、ユーザーデータを利用している企業、つまり、ほぼ全ての企業のシステムに影響する。サードパーティーcookie代替技術競争の勝者が誰になるのかはまだ分からない。それでもIT管理者は今のうちに今後の展開に備える必要がある。
デジタル広告のための新しい基盤を構築する、幾つかの手段を紹介しよう。
手段1.代替ID
個人を識別するデータに基づく代替IDは、サードパーティーcookieと同等の精度を維持できるため、広告業界で最も好まれる。一般的なのは、Webサイトを閲覧したユーザーのメールアドレスを使用して代替IDを生成する方法だ。ユーザーのメールアドレスをハッシュ化して、メールアドレスの収集元が独自に集計可能な一意の代替IDを作成する。この方法なら、個人を特定するデータを開示することなく、パブリッシャーと広告主は複数のWebサイトや他のチャネル(個人との接点)で同一の個人を識別可能だ。代替IDをアカウント番号やデバイス識別番号など別のIDにひも付けることで、複数のチャネルやデバイスに個人識別の対象を広げることができる。
問題は、そもそもメールアドレスを提供しないユーザーがかなりいることだ。そのためサードパーティーcookieと比べて、収集対象は大幅に減ってしまう。サードパーティーcookieを使用できていたときは、ユーザーから自発的に情報を提供してもらう必要はなかった。
手段2.チャネル独自の個人識別データ
一般的なWebサイトはデフォルトで匿名のまま閲覧することが可能だ。それ以外のデジタルチャネルへは、ユーザーはそれほど自由には入れない。ほとんどのモバイルアプリケーションにはログインが必要であり、コネクテッドTV(インターネットに接続したテレビ)などのデバイスの設定には個人を識別するアカウントを使用する。これにより、そうしたチャネルでのユーザー操作や広告表示を個人にひも付けることができる。ユーザーの特定の操作をインターネットサービスプロバイダー(ISP)やデバイスベンダー、アプリケーションベンダーなど複数の企業がトラッキングできるようになるということだ。
各チャネルが広告主にどのデータを提供するかは、チャネルごとのプライバシールールやポリシー、同意契約によって異なる。通常、個人の識別データを直接提供することはないが、個人に関するデータに基づく広告ターゲティングは可能だ。チャネルオーナー同士が提携することにより、クロスチャネル(複数チャネル横断)のユーザープロファイルを作成することもできる。この場合も、メールアドレスをハッシュ化するなどしてプライバシーを保護した識別データを使用する。
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