ポストcookie時代のマーケティング戦略【中編】
「ファーストパーティーデータ」はターゲティング広告に使えるか
企業は広告をパーソナライズする手段としてサードパーティーcookieを利用できなくなったら、他にどのような代替手段を持ち得るのか。主要な5つの代替策のうち、2つを紹介する。
広告をパーソナライズする手段としてサードパーティーcookie(訪問先Webサイトとは異なるドメインに関連付けられたcookie)の利用が封じられた企業は、それに変わる方法を模索している。現時点で選択肢に挙がるのは以下の5つだ。
- IDプロバイダー
- ファーストパーティーデータ
- サブスクリプションユーザーベース
- デバイスフィンガープリンティング
- コンテキストターゲティング
今回はそのうち2つを紹介する。
1.IDプロバイダー
サードパーティーcookieなしでオンラインユーザーを特定できるIDを提供しているIDプロバイダーが少数ながらある。GoogleやAmazon.com、Facebook、Apple、Netflixといった、「ウォールドガーデン」と呼ばれる自社サービスへの囲い込み施策を取る巨大IT企業に対抗するためだ。
ユーザーがWebサイトを訪問し、その運営者に自分の情報の使用を許可すると、運営者はそのユーザーの許可を提携先のIDプロバイダーと共有する。これによりIDプロバイダーはそのユーザーのIDを作成し、Webサイト運営者はターゲティング広告の配信にそのIDを使用できるようになる。
例えばIDプロバイダーのLiveRampはIDサービス「LiveRamp IdentityLink」を提供している。LiveRamp IdentityLinkは、デバイスやマーケティング支援システムで使われる多様なIDを正確にひも付けることで、企業の顧客理解を深めることを可能にする。これにより企業はIDの行動履歴や属性にマッチした広告を購入し、パーソナライズされたマーケティング戦略を推進できる。
「LiveRampはユーザーの匿名性を確保しながら、今このタイミングでこのデバイスからWebサイトにアクセスしているユーザーが、例えば『マンハッタンにいるアリ・パパロだ』と特定できる」。DSP(Demand Side Platform:広告主向け広告配信プラットフォーム)を手掛け、LiveRampと提携したBeeswaxのアリ・パパロCEOはこう語る。
2.ファーストパーティーデータ
企業はサードパーティーcookieを利用できなくなっても、引き続きファーストパーティーデータ(訪問先Webサイトのドメインに関連付けられたデータ)を広告に利用できる。
ファーストパーティーデータには、企業が独自に集めた氏名、住所、電話番号など、個人を特定可能なあらゆる情報が含まれる。これらのファーストパーティーデータを着々と収集してきた企業は、GoogleがWebブラウザ「Chrome」におけるサードパーティーcookieを段階的に廃止しても、支障はなさそうだ。
「マーケターは自社のファーストパーティーデータに目を向け、既存顧客に関する有意義な洞察を引き出し、その情報を基にターゲティング、効果測定、見込み客の把握を進めるべきだ」。調査会社Forrester Researchのシニアアナリストであるティナ・モフェット氏はこう指摘する。
Facebookのファーストパーティーデータである「Facebook Pixel」(Facebookピクセル)を自社Webサイトに配置するのも一つの手だ。「これはごくシンプルなソリューションだ。Pixelを使ってユーザーのデータを読むことができる」(Beeswaxのパパロ氏)
「広告主はしばしば、広告掲載先のWebサイトやEC業者と協力して、サードパーティーcookieで得られた情報に匹敵する正確な顧客データを集めようとする」。調査会社Gartnerのリサーチバイスプレジデント兼ディスティングイッシュトアナリストのアンドルー・フランク氏はこう語る。
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