DEIを廃止したら売り上げが減った──消費者の怒りを買った“根本的な理由”とは?マーケターができることは?

トランプ大統領が連邦政府のDEI施策を廃止する動きに呼応し、一部の企業がDEI施策の縮小や取りやめを発表した。そうした中、消費者の反発を買い、ボイコットに直面した企業もある。

2025年03月18日 06時00分 公開
[Don FluckingerTechTarget]

関連キーワード

マーケティング


 米国のドナルド・トランプ大統領は、連邦政府におけるDEI(多様性、公平性、包摂性)施策の廃止を進めている。この動きに呼応して、一部の企業がDEI施策の縮小や取りやめを発表する中、消費者の反発を買い、ボイコットに直面する企業が出てきた。政治的な動向に左右されなかった企業との根本的な違いは何だったのか。

消費者の怒りを買った根本的な理由

 2025年1月、大手スーパーマーケットチェーンTargetを運営するTarget Corporationは、DEI施策の取りやめを発表した。その結果、消費者が同社での購入を取りやめるようボイコットを呼び掛けたり、DEIを支持する別の小売店での購入を推奨する「バイコット」を進めたりする動きが起きた。キリスト教の復活祭の準備期間である四旬節(2025年3月5日~4月17日)には、黒人の宗教指導者がTargetへのボイコットを呼び掛けている。

 調査会社Constellation Researchのアナリスト、リズ・ミラー氏は「消費者の怒りを買った企業は、慎重な判断をすべきだった」と指摘する。マーケティングの基本原則は、消費者の声に耳を傾け、消費者をよく理解することだ。「消費者を理解しない企業、マーケティング部門に相談せずに意思決定を進める企業は、その代償を払うことになる」と同氏は説明する。

 多様性、公平性、包摂性の概念を、「DEI」というキーワードではなく、「正しいこと」や「企業ブランド」と捉え、社内に根付かせてきた企業は、政治的な動向に売り上げが左右されることはない。ソフトウェアベンダーSalesforceが一例だ。

 対照的に、表面的にDEI施策を進め、政治の動きに合わせて施策を取りやめた企業は、「DEIでやるべきことリスト」を形式的に実施していただけで、DEIの意義や効果を十分に理解して取り組んできたわけではないとミラー氏は指摘する。

 このような場合、「企業がDEI施策をとりやめたことで、消費者が商品を買わなくなっても文句は言えない」とミラー氏は述べる。「消費者の目には、その企業が約束を破ったと映るからだ」(同氏)

マーケターは静観すべき?

 自社がDEI施策を取りやめ、消費者のボイコット、さらには売り上げの減少に直面した場合、マーケターはどのような施策を進めればよいのか。

 ソフトウェアベンダーCelebrus TechnologiesのCEO、ビル・ブルーノ氏は、DEI施策を取りやめることは不適切な判断だと指摘する。

 消費者からの反発に直面した企業のマーケティング部門は、売り上げを改善するために新たなマーケティング施策を進めなければならない。しかしブルーノ氏は「DEI施策の失敗を、新しいマーケティング施策で挽回ことはできない」と述べ、「静観し、消費者の記憶が薄れることを期待するしかない」と主張する。

 「優秀なマーケターでさえ、DEI施策からの撤退を肯定的に捉えたマーケティング施策を作り出すことはできない」(ブルーノ氏)

 ミラー氏は「政治的な問題については、時として静観が必要だ」と話す。「消費者にとって重要なテーマや文化に根ざした社会問題については、企業やマーケターは一歩下がって考える必要がある」というのがミラー氏の提案だ。「慌てて企業の立場を表明する前に一呼吸置くべきだ。全ての企業が立場を表明する必要はない」(同氏)

TechTarget.AIとは

TechTarget.AI編集部は生成AIなどのサービスを利用し、米国Informa TechTargetの記事を翻訳して国内向けにお届けします。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
本記事は制作段階でChatGPT等の生成系AIサービスを利用していますが、文責は編集部に帰属します。

鬯ョ�ォ�ス�エ�ス�ス�ス�ス�ス�ス�ス�ス�ス�ス�ス�ー鬯ッ�ィ�ス�セ�ス�ス�ス�ケ�ス�ス邵コ�、�つ€鬯ゥ蟷「�ス�「髫エ蜿門セ暦ソス�ス�ス�ク髯キ�エ�ス�・�ス�ス�ス�。鬯ゥ蟷「�ス�「�ス�ス�ス�ァ�ス�ス�ス�ス�ス�ス�ス�、鬯ゥ蟷「�ス�「髫エ荳サ�ス隶捺サゑスソ�ス�ス�ス�ス�ス�ス�ス鬯ゥ蟷「�ス�「髫エ雜」�ス�「�ス�ス�ス�ス�ス�ス�ス�シ鬯ゥ蟷「�ス�「髫エ荵暦ソス�ス�ス�ス�サ�ス�ス�ス�」�ス�ス�ス�ス�ス�ス�ス�ス

製品資料 ServiceNow Japan合同会社

顧客/従業員/パートナーをシームレスな環境に統合、CXを改善する注目手法とは

「CXの分断」による顧客ロイヤリティーの低下は、ITリーダーにとって大きな課題だ。しかし、顧客にシームレスなCXを提供するためには多くの壁をクリアする必要がある。この壁をどう乗り越えればよいのか。

製品資料 双日テックイノベーション株式会社

Zoomの商談解析ツールで「営業活動の質と生産性」はどう変わるのか?

営業活動を進める上で、売り上げ改善に向けた取り組みに課題を感じる担当者は少なくない。昨今では、効率的な営業活動を実現する手段として、Zoomの機能、商談解析ツールを活用したアプローチが注目されている。その具体的な効果とは。

製品資料 ユミルリンク株式会社

メール配信システムとMAツールを徹底比較:乗り換えで失敗しないためのポイント

メール配信システムとMAツールには共通点が多いことから、低コストで運用できるメール配信システムへの乗り換えを検討する企業は少なくない。リプレースや新規導入で失敗しないために、両者の違いを解説する。

製品資料 株式会社ecbeing

B2B ECの導入失敗を回避、構築・運用の重要ポイントを解説

「B2B EC」は企業間取引を効率化するうえで非常に有効な手段だが、そのメリットを享受するにはポイントを押さえたサイト構築が求められる。B2B ECを始める前に知っておきたいサイト構築・運用の注意点を解説する。

製品資料 株式会社ラクーンフィナンシャル

B2B取引がオンラインで完結、今注目の「B2B EC」導入における3つの課題と解決策

働き方改革を受けて、対面取引からB2B EC(オンライン)への切り替えが進んでいる。B2B ECは受注から出荷までオンラインで完結できるなど多くのメリットが期待できるが、導入に当たっては、いくつかの課題を解消することが必要だ。

驛「譎冗函�趣スヲ驛「謨鳴€驛「譎「�ス�シ驛「�ァ�ス�ウ驛「譎「�ス�ウ驛「譎「�ソ�ス�趣スヲ驛「譎「�ソ�スPR

From Informa TechTarget

いまさら聞けない「仮想デスクトップ」と「VDI」の違いとは

いまさら聞けない「仮想デスクトップ」と「VDI」の違いとは
遠隔のクライアント端末から、サーバにあるデスクトップ環境を利用できる仕組みである仮想デスクトップ(仮想PC画面)は便利だが、仕組みが複雑だ。仮想デスクトップの仕組みを基礎から確認しよう。

TechTarget驛「�ァ�ス�ク驛「譎「�ス�」驛「譏懶スサ�」�趣スヲ 髫エ�ス�ス�ー鬨セ�ケ�つ€鬮ォ�ェ陋滂ソス�ス�コ�ス�ス

鬯ゥ蟷「�ス�「髫エ蜿門セ暦ソス�ス�ス�ク髯キ�エ�ス�・�ス�ス�ス�。鬯ゥ蟷「�ス�「�ス�ス�ス�ァ�ス�ス�ス�ス�ス�ス�ス�、鬯ゥ蟷「�ス�「髫エ荳サ�ス隶捺サゑスソ�ス�ス�ス�ス�ス�ス�ス鬯ゥ蟷「�ス�「髫エ雜」�ス�「�ス�ス�ス�ス�ス�ス�ス�シ鬯ゥ蟷「�ス�「髫エ荵暦ソス�ス�ス�ス�サ�ス�ス�ス�」�ス�ス�ス�ス�ス�ス�ス�ス鬯ゥ蟷「�ス�「髫エ雜」�ス�「�ス�ス�ス�ス�ス�ス�ス�ゥ鬯ゥ蟷「�ス�「髫エ雜」�ス�「�ス�ス�ス�ス�ス�ス�ス�ウ鬯ゥ蟷「�ス�「�ス�ス�ス�ァ�ス�ス�ス�ス�ス�ス�ス�ュ鬯ゥ蟷「�ス�「髫エ雜」�ス�「�ス�ス�ス�ス�ス�ス�ス�ウ鬯ゥ蟷「�ス�「�ス�ス�ス�ァ�ス�ス�ス�ス�ス�ス�ス�ー

2025/06/02 UPDATE

ITmedia マーケティング新着記事

news017.png

「サイト内検索」&「ライブチャット」売れ筋TOP5(2025年5月)
今週は、サイト内検索ツールとライブチャットの国内売れ筋TOP5をそれぞれ紹介します。

news027.png

「ECプラットフォーム」売れ筋TOP10(2025年5月)
今週は、ECプラットフォーム製品(ECサイト構築ツール)の国内売れ筋TOP10を紹介します。

news023.png

「パーソナライゼーション」&「A/Bテスト」ツール売れ筋TOP5(2025年5月)
今週は、パーソナライゼーション製品と「A/Bテスト」ツールの国内売れ筋各TOP5を紹介し...