トランプ大統領が連邦政府のDEI施策を廃止する動きに呼応し、一部の企業がDEI施策の縮小や取りやめを発表した。そうした中、消費者の反発を買い、ボイコットに直面した企業もある。
米国のドナルド・トランプ大統領は、連邦政府におけるDEI(多様性、公平性、包摂性)施策の廃止を進めている。この動きに呼応して、一部の企業がDEI施策の縮小や取りやめを発表する中、消費者の反発を買い、ボイコットに直面する企業が出てきた。政治的な動向に左右されなかった企業との根本的な違いは何だったのか。
2025年1月、大手スーパーマーケットチェーンTargetを運営するTarget Corporationは、DEI施策の取りやめを発表した。その結果、消費者が同社での購入を取りやめるようボイコットを呼び掛けたり、DEIを支持する別の小売店での購入を推奨する「バイコット」を進めたりする動きが起きた。キリスト教の復活祭の準備期間である四旬節(2025年3月5日〜4月17日)には、黒人の宗教指導者がTargetへのボイコットを呼び掛けている。
調査会社Constellation Researchのアナリスト、リズ・ミラー氏は「消費者の怒りを買った企業は、慎重な判断をすべきだった」と指摘する。マーケティングの基本原則は、消費者の声に耳を傾け、消費者をよく理解することだ。「消費者を理解しない企業、マーケティング部門に相談せずに意思決定を進める企業は、その代償を払うことになる」と同氏は説明する。
多様性、公平性、包摂性の概念を、「DEI」というキーワードではなく、「正しいこと」や「企業ブランド」と捉え、社内に根付かせてきた企業は、政治的な動向に売り上げが左右されることはない。ソフトウェアベンダーSalesforceが一例だ。
対照的に、表面的にDEI施策を進め、政治の動きに合わせて施策を取りやめた企業は、「DEIでやるべきことリスト」を形式的に実施していただけで、DEIの意義や効果を十分に理解して取り組んできたわけではないとミラー氏は指摘する。
このような場合、「企業がDEI施策をとりやめたことで、消費者が商品を買わなくなっても文句は言えない」とミラー氏は述べる。「消費者の目には、その企業が約束を破ったと映るからだ」(同氏)
自社がDEI施策を取りやめ、消費者のボイコット、さらには売り上げの減少に直面した場合、マーケターはどのような施策を進めればよいのか。
ソフトウェアベンダーCelebrus TechnologiesのCEO、ビル・ブルーノ氏は、DEI施策を取りやめることは不適切な判断だと指摘する。
消費者からの反発に直面した企業のマーケティング部門は、売り上げを改善するために新たなマーケティング施策を進めなければならない。しかしブルーノ氏は「DEI施策の失敗を、新しいマーケティング施策で挽回ことはできない」と述べ、「静観し、消費者の記憶が薄れることを期待するしかない」と主張する。
「優秀なマーケターでさえ、DEI施策からの撤退を肯定的に捉えたマーケティング施策を作り出すことはできない」(ブルーノ氏)
ミラー氏は「政治的な問題については、時として静観が必要だ」と話す。「消費者にとって重要なテーマや文化に根ざした社会問題については、企業やマーケターは一歩下がって考える必要がある」というのがミラー氏の提案だ。「慌てて企業の立場を表明する前に一呼吸置くべきだ。全ての企業が立場を表明する必要はない」(同氏)
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