多様化する社会を背景に、企業のマーケティング施策も改善を求められている。多様性を重視したマーケティング施策を実施する3つのメリットと、推進するための6つのステップを紹介する。
「DEI」(多様性、公平性、包摂性)がマーケティング施策を実施する際の重要な要素になりつつある。背景には、消費者の“ある動向”がある。多様性を考慮したマーケティング活動(インクルーシブマーケティング)を進めるメリットとは。それらを推進するための6つのステップとともに紹介する。
消費者によって、その文化やアイデンティティーはさまざまだ。消費者の多様性を無視したマーケティングを推進すれば、顧客エンゲージメントが低下し、企業としての成長機会を失う恐れがある。消費者の多様性に配慮したマーケティング施策を展開すれば、企業は競争力を維持し、消費者からの共感を得ることが可能だ。
消費者の中には、企業の社会的責任を重視したり、企業が発信するメッセージに共感したりする人もいる。インクルーシブマーケティングを推進する企業が自身を「信頼できる企業市民」(利益を追求する以前に良き市民であるべきという考え方)だと発信することで、消費者を引き付け、企業の地位を盤石なものとしたりすることが可能だ。
コンサルティング会社Deloitte Consultingが2024年1月に公開した記事によると、経営方針や業務プロセスにDEIの考え方を導入した企業は、ビジネスにおける創造性や革新性を高めることができるという。マーケティング施策においては、DEIを前提とした広告イメージを使用したり、マーケティング部門の人員構成を検討したりすることが企業の利益を向上させる鍵となる。
多様な背景を持つ従業員をマーケティング部門に採用すれば、さまざまな視点から施策を検討できるようになる。DEIを重視する従業員は、企業が自分たちを大切にしていると感じ、労働意欲や業務の生産性が向上する可能性がある。
従来マーケティング施策の対象としてこなかった消費者の中から新たな顧客を獲得する上でも、インクルーシブマーケティングは有用だ。
インクルーシブマーケティングを実現する前に、まずは企業内でDEIを推進する。人事部門とマーケティング部門が協力してDEIを推進するための研修を実施し、多様な人材を採用する。社内でのDEIに関する取り組みを社外に発信することも重要だ。社内でDEIを推進しないままインクルーシブマーケティングを推進しても、消費者の批判を受ける恐れがある。
包括的な市場調査を実施して、対象とする顧客セグメントを十分に理解する。年齢や性別、エスニックグループ、性的指向、社会経済的背景、嗜好といった項目を把握することが、マーケティング施策の改善やDEIを意識した消費者の獲得につながる。
マーケティング施策で発信するメッセージやプロモーションに使用する画像や動画は、企業の印象に影響を与える重要な要素だ。「アイデンティティーは多様だ」「人それぞれさまざまな経験を積んでいる」というメッセージを反映した施策を展開すれば、消費者が企業に共感したり、帰属意識を高めたりする可能性は高まる。
マーケティング施策で発信するメッセージの内容を検討する際、消費者に対する敬意を忘れてはならない。特定の顧客セグメントに対する固定観念を想起させるような施策を打てば、不快感を抱いたり反発したりする消費者が現れ、企業イメージを損なう恐れがある。
メールやSMS(ショートメッセージサービス)、SNS(ソーシャルネットワークサービス)を使って、消費者にDEIを重視したメッセージを発信する。これにより、企業イメージと持続可能性の推進といった社会的なテーマが結び付き、企業に対する消費者の信頼が高まる可能性がある。企業ブランドのファンや、商品やサービスのリピーターが増加することもある。
テレビCMやメールを使って幅広い消費者にメッセージを届けるだけでなく、ソーシャルメディアを通じて多様な声を吸い上げることも一つの手だ。消費者と企業がリアルタイムで発信し合えるソーシャルメディアであれば、両者が接点を持ちやすい。
DEIを前提としたコンテンツをソーシャルメディアで発信したり、DEIについて発信しているインフルエンサーやコンテンツクリエイターと連携して、消費者とのつながりを深めたりするのも効果的だ。
国や地域、コミュニティーによって、消費者の行動や考え方の基準、ルールは異なる。マーケティング施策を実施する際は、発信先となる国や地域、コミュニティーの文化的な規範を可能な限り把握した上で発信内容を調整する。発信先の関係者からの協力を得て、文化的な規範を理解するのも一案だ。
地域の祭りや活動に参加して、その地域の特徴を理解することも一つの手だ。マーケティング用のコンテンツにその地域の言語や文化的なシンボル、歴史に関する情報を組み込むことで、企業イメージに対する消費者の認識が変化する可能性がある。
顧客エンゲージメントやコンバージョン率、企業イメージといったKPI(重要業績評価指標)を設定して、インクルーシブマーケティングの効果を測定することも一考だ。商品やサービスに関するトレンドや消費者の嗜好を特定することで施策の継続的な改善が可能となり、ROI(投資対効果)が向上する可能性がある。
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