Getty Imagesの画像生成AIが“クリエイターの仕事を奪わない”といえる理由「クリーンデータセット」の力とは

生成AIがクリエイターの仕事を奪うという見方がある中、Getty Imagesが発表した画像生成AIツールは、生成AIとクリエイターが共存する道筋を示すものだ。どのような特徴があるのか。

2024年11月13日 18時55分 公開
[Shaun SutnerTechTarget]

関連キーワード

人工知能 | マーケティング


 テキストや画像などを自動生成するAI(人工知能)技術「生成AI」が普及する中で、アーティストや写真家といったクリエイターの仕事を生成AIが奪うのではないかという懸念が広がった。クリエイターの制作物を生成AIが無断で学習し、独自の画像を生成する恐れがあるためだ。

 この懸念を払拭する動きがあった。2023年、デジタル素材を提供するGetty Imagesは画像生成AIツール「Generative AI by Getty Images」を発表した。その特徴は「クリーンデータセット」を使用する点だ。クリーンデータセットとは何か。クリーンデータセットがクリエイターに希望をもたらす理由とは。

クリーンデータセットがクリエイターに“優しい”理由

会員登録(無料)が必要です

 「クリーンデータセットとは、安全で責任ある商用利用が可能な教師データだ」。Getty ImagesでデータサイエンスおよびAI・機械学習部門のディレクターを務めるアンドレア・ガリアーノ氏はこう説明する。

 ガリアーノ氏によると、Getty Imagesのクリーンデータセットには、企業の著作物、デザインといった知的財産や、有名人の画像が含まれていない。「特定の有名人の画像を生成しないように、細心の注意を払っている」(同氏)

 クリーンデータセットを使えば、ドナルド・トランプ氏やカマラ・ハリス氏といった人物の画像も生成しないという。「Generative AI by Getty ImagesのAIモデルは両者の画像を学習したことがない」(ガリアーノ氏)

 このような規制を設けることで、ディープフェイク(AI技術を使って合成された、事実と異なる映像や音声、写真)を作成される可能性を排除する。生成した全てのコンテンツには「合成」や「AI生成」というタグ付けをしている。

 「人物や物体を写した画像の価値を損なうような状況を避けたい」(ガリアーノ氏)

 AIモデルのトレーニングに使用するデータを提供した人物には報酬が支払われる。Generative AI by Getty Imagesの収益の一部が、データセットの作成に貢献したクリエイターに分配される仕組みだ。

TechTarget.AIとは

TechTarget.AI編集部は生成AIなどのサービスを利用し、米国TechTargetの記事を翻訳して国内向けにお届けします。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
本記事は制作段階でChatGPT等の生成系AIサービスを利用していますが、文責は編集部に帰属します。

新着ホワイトペーパー

製品資料 Splunk Services Japan合同会社

金融サービス業界のレジリエンス向上、AI活用の有効性とその実装方法とは

イノベーションの加速とともに、セキュリティやレジリエンスの維持などさまざまな課題が顕在化している金融サービス業界。課題の中身を確認しながら、その解決策として期待されるAI活用の有効性や実装方法を紹介する。

市場調査・トレンド Splunk Services Japan合同会社

金融業界におけるAIと機械学習の活用が進む中、解消しておきたい5つの誤解とは

金融業界においてAIツールの活用が進んでいる。一方で、セキュリティ面の不安を抱えている金融サービス企業は少なくない。このような懸念は、リスクとメリットを考慮して、AIと機械学習の戦略を策定することで解消できる。

プレミアムコンテンツ アイティメディア株式会社

AIには代替できない「ITエンジニア職」はこれだ

AI技術は進化を続け、人間の仕事の一部はAIによって代替可能になる。AI技術に代替されにくいITエンジニアの職種とは何か。ITエンジニアはどのようなキャリアを歩むべきなのか。

製品資料 日本ヒューレット・パッカード合同会社

AI活用を加速させる、スーパーコンピューティングの実力

AI活用には処理スピードが重要となる。特に、大規模言語モデルのトレーニングでは、長期的に稼働できる強力なコンピュート性能も求められる。そこで注目したいのが、AIモデルのトレーニングを加速させるスーパーコンピューティングだ。

製品レビュー 日本ヒューレット・パッカード合同会社

開発や分析の多様なニーズに応えながら、組織全体にAIを導入する方法とは?

AIを使ったイノベーションの推進が期待されているが、組織全体にAIを導入するためにはいくつかの課題を解消することが必要だ。開発や分析を担うエンジニアやデータサイエンティストのニーズに応えながら、組織全体にAIを導入する方法とは?

From Informa TechTarget

お知らせ
米国TechTarget Inc.とInforma Techデジタル事業が業務提携したことが発表されました。TechTargetジャパンは従来どおり、アイティメディア(株)が運営を継続します。これからも日本企業のIT選定に役立つ情報を提供してまいります。

ITmedia マーケティング新着記事

news026.png

「パーソナライゼーション」&「A/Bテスト」ツール売れ筋TOP5(2025年4月)
今週は、パーソナライゼーション製品と「A/Bテスト」ツールの国内売れ筋各TOP5を紹介し...

news130.jpg

Cookieを超える「マルチリターゲティング」 広告効果に及ぼす影響は?
Cookieレスの課題解決の鍵となる「マルチリターゲティング」を題材に、AI技術によるROI向...

news040.png

「マーケティングオートメーション」 国内売れ筋TOP10(2025年4月)
今週は、マーケティングオートメーション(MA)ツールの売れ筋TOP10を紹介します。