アーティストのグジェゴシュ・ルトコフスキ氏は、人工知能(AI)技術で生成したアート作品(以下、AIアート)に疑問を呈する。ルトコフスキ氏はAIアートだけではなく、AIアートを生成するツールのベンダーにも問題があると考える。
ルトコフスキ氏は「AI技術は科学、技術、医療など、さまざまな分野に影響を与えている。この流れは止めることも、避けることもできない」と認める。「アーティストはいずれAI技術で生成したアート作品を受け入れるようになる」というのが同氏の考えだ。
ただし「現段階では、できる限りアーティストに敬意を持って接しなければならない」とルトコフスキ氏は述べる。そうした理由から同氏は、AIアート生成ツールが利用するデータの規制を推進している。
マイケル・ベネット氏によると、自身のアート作品と著しく似通ったAIアートの存在を認識したアーティストは、著作権侵害を強く主張する権利がある。ベネット氏はノースイースタン大学(Northeastern University)の経験的AI研究所(Institute for Experiential AI)で、教育課程ディレクター兼レスポンシブルAI担当責任者を務める。ベネット氏は、知的財産弁護士として15年以上の経験を持つ。
アーティストによる著作権侵害の主張が法的に正当と言えるかどうかは「AIアートとアーティストの作品がどの程度似ているかによる」とベネット氏は話す。他方で同氏は、もしAIアートがアーティストの作品と「それほど似ていない」と見なされれば、「生きた人間のアーティストができることは何もない」と考えている。
画像生成AIモデルは、既存の画像を使って画像を生成するだけではなく、アーティストに着想を与えることに役立つとの見方がある。これについてベネット氏は「若いアーティストが古い作品から着想を得ることに似ており、それほどの害はない」との見解を示す。
ルトコフスキ氏は「画像生成AIモデルとその開発者は、アーティストに対して責任を持つべきだ」と主張する。例えば存命のアーティストの作品を教師データ群から排除し、利用を禁止することが、責任を負うことの一例になる。これは現在、ヌード写真や画像の投稿を禁止している交流サイトの取り組みと同様だ。
画像生成AIモデルは急速に普及している。既に創造性を発揮し、無料あるいは手頃な料金で利用できる画像生成AIモデルもある。画像生成AIモデルと、それを利用する人が増え続けることは間違いない。「もしAI技術がアート作品の創作ペースを加速させ、より多くの人がアート作品を制作できるようになるのであれば、それは良いことだ」とベネット氏は述べる。
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