トランプ大統領のDEI廃止の方針に呼応して、企業がDEI施策を取りやめる動きが広がる一方、一部の専門家はDEIの必要性を訴える。なぜDEI施策が必要なのか。
米国のドナルド・トランプ大統領が連邦政府のDEI(多様性、公平性、包摂性)施策の廃止を進める中、DEI施策を取りやめる企業の動きが広がっている。しかし一部の専門家は、企業におけるDEIの必要性が完全に失われることはないと提言する。多様性を重視し続ける企業もある。
多様な労働力はビジネスの成功要因の一つだ。社会問題や環境問題に取り組む非営利団体As You SowのCEOアンドリュー・ベハー氏は、DEI施策の廃止は「政治的な問題ではなくビジネスの問題だ」と述べる。
米雇用機会均等委員会(EEOC:Equal Employment Opportunity Commission)が1万6000社以上の企業を対象に2016年~2022年に収集したデータをAs You Sowが分析したところ、管理職の多様性が高い企業ほど業績が良好だったことが分かった。一方、管理職の多様性が低い企業は業績が振るわない傾向にあった。
一部の企業は、対外的なDEIの取り組みを抑制する一方、従業員の多様性は重視し続ける方針だ。農業機械や建設機械のメーカー、Deere&Company(John Deereの名称で事業展開)はその一例だ。2024年7月、同社は「社会的・文化的な啓発を目的としたパレード、フェスティバル、イベントへの参加を取りやめる」と発表。社内研修資料を監査し、「社会的動機に基づくメッセージがないことを確認する」と説明した。
一方、Deere&Companyは「多様な労働力は、長期的な成功に不可欠だ」と主張する。ベハー氏は「Deere&Companyは多様性と包摂性が収益性の向上につながると考えている」と述べ、「企業は人的資本の最適化を続ける」と予測する。
トランプ氏は2025年3月4日(現地時間)の議会演説で、政府のDEI施策廃止への意思をあらためて表明した。
人材コンサルティング企業EquitiFyの創業者兼CEOであるビック・ベーカー氏は、トランプ氏とは異なる見解を示す。同氏は「公民権の獲得には抵抗が付き物だ」と述べ、DEIの取り組みについて「後戻りすることなく、前に進んでいく」と主張する。
ベーカー氏は、多様性のあるチームは同質的なチームよりも優れた成果を上げると指摘し、若い世代の従業員は職場での多様性を期待していると述べる。
「ミレニアル世代(1980年代~1990年代半ばに生まれた世代)とZ世代(1990年代半ば~2010年ごろに生まれた世代)は多様性の意識を持ち、公平性を重視する人々だ」とベーカー氏は述べる。「リーダーシップの育成や従業員体験にDEI施策を取り入れることに失敗している企業は、人材を失い、顧客を失い、信頼性を失うことになる」(ベーカー氏)
若年層は他の世代よりも多様化が進んでいる。シンクタンクBrookings Institutionの調査によると、2020年以降、米国の18歳未満人口に占める非ヒスパニック系白人の割合は減少傾向だ。白人以外の「マイノリティー」の18歳未満人口は2030年に53%、2050年には60%に達する見通しだ。
ベーカー氏は、DEIの目的は「偏見のない公正で公平な採用プロセスを確保することだ」と述べる。「われわれが懸念すべきは、優秀な人材の排除やビジネスの停滞、企業の競争力の喪失だ」(ベーカー氏)
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