2022年以降、大手IT企業各社が大規模な人員削減を進めていた中で、Appleは目立った人員削減をしていないことが報じられた。しかし実際は「静かに人員削減を続けている」という。Apple Store従業員が語る実態とは。
2022年ごろからMeta Platforms、Microsoft、Amazon.com、Googleのような米国IT企業大手が人員のレイオフ(一時解雇)を始め、人員削減の規模は数万人単位に及んだ。そのような中でも、Appleは大幅な人員削減をしていない。ニュース放送局CNBCが2023年5月に報じた内容によると、AppleのCEOティム・クック氏は「大量のレイオフは最後の手段だ」「雇用は継続するが、採用ペースは減速している」と説明していた。
だが従業員の視点からは違う風景が見えている。英国のIT連合労働者組合(UTAW:United Tech and Allied Workers)に加入したApple Store従業員(以下、A氏)は、匿名を条件に自身の体験を語った。A氏によれば「Appleはまだ人員削減を続けている。これまでにないほどの厳しさで社内規定を駆使して、大量解雇の悪評が立たないようにしている」という。
A氏の見解について、UTAWの事務局に在籍するエラン・コーエン氏はこう補足する。「水面下で進む余剰人員削減だ。人員を補充しないことで、労働者の数を減らそうとしている。Appleは余剰人員に対する法定最低賃金の支払いをカットしようとしている、ということだ」
Appleのこうした厳格なアプローチは、個々の従業員をリアルタイムで詳細に監視する技術によって支えられている、とUTAWは考察する。A氏も同意を示し、次のように説明する。「従業員の基本的な行動は全てAppleに監視されている。Appleは全従業員を対象に、膨大なデータを集め、スプレッドシートで厳格に管理している。スプレッドシートの情報は、後に懲戒処分の根拠として使われる可能性がある」
A氏によると、特定の従業員が顧客とやりとりしたアンケートや、従業員がアップセルにどの程度貢献したかの指標、倉庫スタッフの作業ペースを追跡するタイマーなど、Appleはさまざまな情報源からデータを収集している。あらゆることについて膨大な量のデータが記録され、そのデータがさまざまなシステムにフィードされるが、そのデータが将来どのように使用されるかについては必ずしも明確にされていないという。「Appleに入社した瞬間からあらゆる行動が計測され、数値化されている、というのが一般的な仮定だ」とA氏は語る。
第4回は、Appleが従業員の勤怠や査定の判断を自動化したことによる弊害について紹介する。
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