従業員に賃金を平等に支給し、適正な金額であること証明する上で役立つIT製品がある。「同一労働同一賃金」の実現に役立つ主要製品を紹介する。
前編「あのExcelが『同一労働同一賃金』実現に役立つ?」に続き、後編となる本稿は、人事部門が従業員の「同一労働同一賃金」(ペイエクイティ)実現のために利用できるIT製品を紹介する。
人事部門は、賃金格差の問題を明らかにするために「ビジネスインテリジェンス」(BI)ツールを取り入れることができる。作成したダッシュボードにおいて注目すべき箇所のフォントを緑や赤などの目立つ色にしたり、上下の矢印といった目印を追加したりすれば、「問題のないデータ」と「要調査のデータ」が視覚的に区別しやすくなる。こうした機能を利用して情報を簡潔に示すことで人事部門は問題を見極めやすくなり、作業時間を節約できる。
「人事評価システム」は、定義済みの基準に基づいて従業員に評価点数を付ける。人事部門は、従業員の給与レンジや賞与の受給資格、ストックオプションの付与数などさまざまな雇用条件を定義する。人事部門が、雇用条件の定義に人事評価システムを生かすことは、同一労働同一賃金を実現するのに役立つ。賃金データを登録可能な人事評価システムを利用すれば、賃金を管理する「給与システム」から賃金データをエクスポートすることなく、従業員情報にひも付いた賃金データを参照しやすくなる。
従業員の賃金やインセンティブなどの決定を容易にするのが「報酬計画システム」だ。報酬計画システムは、賃金格差を明らかにしようとする人事部門にメリットをもたらす。報酬計画システムに人事評価データや賃金体系データを入力すると、人事部門は自社の賃金に関連するデータを総合的かつ詳細に把握できる。報酬計画システムは一般的に、閲覧権限の設定も可能だ。
ベンダーによっては、市販の賃金調査データを組み込み、ユーザー企業の賃金データと比較する機能を備えたシステムを提供している。こうした機能を使うことで人事部門は、自社と他社との賃金データの比較作業を簡略化できる。人事部門がこの機能を利用する場合、同等の職種同士かつ、適切な地域にある企業のデータと比較することが望ましい。
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