Slackで知らない社員と会話、Zoomで集合写真――テレワークが楽しくなるIT活用法人事部門にできるハイブリッドワーク支援策【後編】

快適なハイブリッドワークのために人事部門が支援できるIT施策は何か。ある企業は「Slack」の拡張機能を使い、ある企業は自社開発のツールを使っている。具体的な事例を紹介する。

2022年03月31日 05時00分 公開
[Linda RosencranceTechTarget]

関連キーワード

在宅勤務


 本連載は、オフィスワークとテレワークを組み合わせた「ハイブリッドワーク」に対する人事部門の支援策を事例とともに紹介してきた(前編「対面希望の顧客、働き過ぎる社員――テレワークの『あるある課題』を解決するヒント」、中編「テレワークだと低評価? ハイブリッドワークでの不公平な人事評価をなくす方法」)。後編となる本稿は3つ目の支援策を紹介する。

支援策3.課題解決にITを活用する

会員登録(無料)が必要です

 ハイブリッドワークでは従業員の孤立が問題になりがちだ。人事(HR)業務を技術で改善する「HR Tech」は、従業員同士のオンラインのつながりを容易にする。

 ID管理会社Auth0は、Slack Technologiesが提供するビジネスチャットツール「Slack」と連携できるアプリケーション「Donut」を導入して従業員同士のコミュニケーションを促している。DonutはSlackのチャンネル参加メンバーの中からランダムなペアを選出する機能を持つ。Auth0はDonutを使い、従業員のランダムなペア同士がWeb会議ツール「Zoom」を使って非公式に集まれるようにした。

 「Donutを使った集まりはとても楽しく、招待された従業員は30分ほどひたすら話をしたり、コーヒーを飲んだりしている」とAuth0で人事担当シニアバイスプレジデントを務めるキャロリン・ムーア氏は話す。ムーア氏によると、Donutで集められたほとんどのグループがZoomを使って集合写真を撮る。「各グループが社内全体に共有できる場に集合写真を投稿するので、他の従業員の様子が分かるようになった」(同氏)

 人材の最適化をネットワーク分析によって支援するコンソーシアムConnected Commonsの創設者ロブ・クロス氏は「従業員同士が互いに瞬時にアクセスできること」「グループ内でどのように仕事が進められているか、グループ内の関係性がどのようなものかを経営幹部が確認できるようにすること」が重要だと考えている。Connected Commonsに参加する企業の中には、人的資本管理(HCM:Human Capital Management)システムを導入している企業もある。

 ハイブリッドワーカーは一般的にオンラインでコミュニケーションを取る。そのため人事部門の担当者は従業員に対し、従業員同士で共同作業をするためのツールを提供する必要がある。

 ITコンサルティング会社Thoughtworksの従業員は世界各地に住み、フレックス制で働いている。「ハイブリッドワークを支援する上でITが重要な役割を果たしている」と同社の北米担当最高経営責任者(CEO)、クリス・マーフィー氏は説明する。かつては対面で実施していたコミュニケーションがリモートに置き換わる中、ハイブリッドワーカーはSlackやZoomなど複数のコミュニケーション手段を必要としている。

 テレワークでもうまく利用できる研修ツールや開発ツールも必要だ。マーフィー氏によると、Thoughtworksは従業員が自身の成長の過程を記録するためのツールを自社開発し、使っている。このツールで成長の記録を振り返ることで、オフィスワークの従業員もテレワークの従業員も、自分の強みを考えやすくなる。目標を達成するための計画を立て、その成長目標を人事部門と共有することもできる。

TechTarget発 世界のインサイト&ベストプラクティス

米国TechTargetの豊富な記事の中から、さまざまな業種や職種に関する動向やビジネスノウハウなどを厳選してお届けします。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

新着ホワイトペーパー

製品資料 株式会社インフォマート

国税OBが解説、令和7年度の税制改正をにらんだ「経理業務DX」の要点

令和7年度の与党税制改正大綱では最重要課題として、成長対策が強調された。特に、所得税や法人税などに関する6つのトピックスも見逃せない。これらを基に、企業が経理業務DXに取り組む上で押さえておきたいポイントについて解説する。

市場調査・トレンド 株式会社インフォマート

調査レポート:インボイス制度開始でどう変わった? 請求書業務の現状と課題

インボイス制度開始後の業務変化についてアンケート調査を実施した。結果から、請求書業務の電子化が進んだ一方、多くの現場で業務負荷の低減を実感できていない現状が見えてきた。現場が直面する具体的な課題と、その解決策を紹介する。

製品資料 株式会社インフォマート

紙、PDF、デジタルのメリット・デメリットを比較:請求業務を楽にするのは?

請求業務において、紙やPDFで発行された請求書を「AI-OCR」を用いてデータ化し取り込む企業も多いが、請求データを最初からデジタルで処理する「DtoD」のシステムを活用する方法もある。本資料では3つの方法を徹底比較する。

事例 株式会社インフォマート

JR東日本など3社の事例に学ぶ、請求業務“全体”をデジタル化する方法

ペーパーレス化や業務効率化の一環で請求書のデジタル化が進む中、請求書そのものだけでなく請求業務全体をデジタル化する動きが加速している。JR東日本、大創産業、三菱地所の発行・受取業務における改革を基に、進め方や効果を探る。

比較資料 アイティメディア広告企画

ユーザーレビューに見る、自社に適したタレントマネジメントシステムの選び方

社内の人材情報を効果的に活用するための方法として、タレントマネジメントシステムの導入が広がっている。しかし、さまざまな製品が登場する中で、自社に適した製品をどう選べばよいのか。そのヒントを紹介する。

From Informa TechTarget

お知らせ
米国TechTarget Inc.とInforma Techデジタル事業が業務提携したことが発表されました。TechTargetジャパンは従来どおり、アイティメディア(株)が運営を継続します。これからも日本企業のIT選定に役立つ情報を提供してまいります。

ITmedia マーケティング新着記事

news026.png

「パーソナライゼーション」&「A/Bテスト」ツール売れ筋TOP5(2025年4月)
今週は、パーソナライゼーション製品と「A/Bテスト」ツールの国内売れ筋各TOP5を紹介し...

news130.jpg

Cookieを超える「マルチリターゲティング」 広告効果に及ぼす影響は?
Cookieレスの課題解決の鍵となる「マルチリターゲティング」を題材に、AI技術によるROI向...

news040.png

「マーケティングオートメーション」 国内売れ筋TOP10(2025年4月)
今週は、マーケティングオートメーション(MA)ツールの売れ筋TOP10を紹介します。