ハイブリッドワークが浸透する中、Zoom Video Communicationsをはじめとするベンダー各社は、コミュニケーション手段の多様化を推し進めようとしている。その背景には何があるのか。
テレワークとオフィスワークを組み合わせた「ハイブリッドワーク」が浸透する中、ハイブリッドワーカーを支援するには、さまざまな状況に適したコミュニケーションツールの選択肢が重要だ。この考えの下、Zoom Video Communicationsは複数のコミュニケーションツールを簡単に切り替えられるようにしようとしている。例えば自分の机のPCで開始したWeb会議をスマートフォンに転送できれば、Web会議に参加したまま散歩ができる。Web会議に参加する代わりにビデオメッセージを送信できれば、スケジュールを合わせなくても同僚との共同作業がしやすくなる。
コミュニケーションツールベンダーの間では、従来の製品/サービスにビデオ通話機能を追加する動きがある。Vonageと8x8はそれぞれ、買収によってコンタクトセンター製品にビデオ通話機能を追加した。Cisco SystemsとSlack Technologiesもビデオメッセージ機能を導入し、多過ぎる会議を削減する手段として売り込んでいる。
「会議が多過ぎることはテレワークやハイブリッドワークの課題となっており、『Web会議疲れ』を招く」と、Zoom Video Communicationsで電話・会議室部門の責任者を務めるグレーム・ゲッディーズ氏は指摘する。Zoom Video Communicationsには「ユーザーがWeb会議で燃え尽き症候群に陥らないよう支援する責任がある」と同氏は主張。選択肢を用意することが支援策の一つになると説明する。「Web会議疲れはまさに多面的な問題だ。ビデオメッセージといった非同期コミュニケーションの手段は、ユーザーにとって解決策となる可能性がある」(同氏)
Zoom Video CommunicationsのWeb会議ツール「Zoom」は、ホットデスク(複数の従業員が同じ座席を別の時間に使用するための機能)といった、ハイブリッドワークを想定した機能を採用する方向で進化するとゲッディーズ氏はみる。従業員は自宅でZoomを使ってオフィスの机を予約。テレビ会議アプライアンス「Zoom Rooms」のキオスク端末を使ってオフィスの“バーチャル受付”を実現し、デスクで仕事をするときはZoom Phoneを使うようになる。「ハイブリッドワークは私たちの注力分野であり、ユーザーが必要としている分野だ。これからどんどん進化する」と同氏は強調する。
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