テレワークだと低評価? ハイブリッドワークでの不公平な人事評価をなくす方法人事部門にできるハイブリッドワーク支援策【中編】

オフィスと自宅、それぞれで働く従業員がいた場合に、オフィスワークをする方が高い評価を受けるケースがある。ハイブリッドワーク特有の「誤解」に起因する不利益を生まないために、人事部門ができることは何か。

2022年03月24日 05時00分 公開
[Linda RosencranceTechTarget]

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 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック(世界的大流行)を経て普及したハイブリッドワーク(オフィスワークとテレワークを組み合わせた勤務形態)は、パンデミックの収束後も従業員の要望によって継続する可能性がある。前編「対面希望の顧客、働き過ぎる社員――テレワークの『あるある課題』を解決するヒント」は、人事部門がハイブリッドワーカーに提供できる3つの支援策のうち1つ目を紹介した。中編は、2つ目の「従業員が人事評価で不利益を被らないための策を立案し、実施する」を紹介する。

支援策2.従業員が人事評価で不利益を被らないための策を立案し、実施する

 ハイブリッドワーク制度を成り立たせるための戦略を立て、その戦略をできるだけ詳細に記述することは、成功のために非常に重要だ。

 ID管理会社Auth0で人事担当シニアバイスプレジデントを務めるキャロリン・ムーア氏と人事部門は、従業員の業績を評価するための研修を管理職向けに実施した。その際、テレワークの従業員とオフィスワークの従業員それぞれの仕事を、同じ目線で評価しているかどうかに注目した。テレワークの従業員とオフィスワークの従業員とでは、オフィスワークの従業員の方が有利になることがよくあるとムーア氏は説明する。「今は、そのような傾向をなくすことに気を配らなければならない」(同氏)

 Auth0の人事部門は、全ての従業員が適切なタイミングで適切な情報を得る方法を模索している。例えば米国東部標準時の午前9時にグループメールを送信すると、西海岸の従業員がそのメールを受信するのは午前6時だ。「メールで指示を受けた業務を遂行するために早朝から働かなければならない」と従業員に感じさせてしまうなら、これは良いアイデアとは言えない可能性がある。「従業員同士の時差に気を配ることが必要だ」とムーア氏は話す。

 小さな努力に見えることでも大きな改善につながることがある。ITコンサルティング会社Thoughtworksの北米担当最高経営責任者(CEO)クリス・マーフィー氏は「当社の人事部門は経営幹部と密接に連携してハイブリッドワークを支援している」と述べる。同社は従業員をつなぎとめるための取り組みとして、2021年の初めにオンラインイベントを開催した。イベントの企画には、オンライン料理教室、ワインテイスティング(従業員の家にワインを配送して実施)、マジックショーなどがあった。他にも、会社から従業員にお菓子のギフトボックスを送ったり、会社が資金を提供して従業員同士の小さな懇親会を開催したりしている。

 ハイブリッドワークを実現する上で最も重要なことは、働き方の大きな変化がCOVID-19という世界的な危機によって引き起こされたものであることを忘れないことだ。「人事部門のリーダーは従業員がどのような状況に置かれているかを念頭に置き、共感を示しながら計画を立て、管理すべきだ」とムーア氏は話す。


 後編は3つ目の支援策「課題解決にITを活用する」を紹介する。

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