「テレワーク中に対面希望の顧客」「家で仕事ができると無限に働いてしまう従業員」など、テレワークとオフィスワークを組み合わせたハイブリッドワークに特有の課題をどう解決すればいいのか。事例を紹介する。
組織のリーダーにとって最も難しい課題の一つは、オフィスワークとテレワークを組み合わせた「ハイブリッドワーク」をどのように支援するのがベストなのかということだ。
「ハイブリッドワークの実現に向けてどのようにアプローチし、支援をするのがベストなのか」という問いに対する答えを検討するには、全社的な視点が必要になる。ハイブリッドワークを支援するために働き方に関する戦略を見直す際、人事部門の役割は重要な意味を持つ。
本稿は、人事部門がハイブリッドワーカーを支援するためのヒントを紹介する。
ハイブリッドワークを成功させるためには、あらゆる不測の事態を想定した戦略を立てることが重要だ。
人材会社Smith Consulting Groupのプレジデント、ジュリ・スミス氏によると、人事部門のリーダーは人事的な観点と法的な観点の両方から、ハイブリッドワークの方針を策定する必要がある。その際、経営幹部への配慮も忘れてはならない。
検討すべき方針には、新人研修や業務時間に関するものも含まれる。新しいハイブリッドワークの方針が社外の関係者に影響を与えるかどうかも重要な検討事項の一つだ。
ITコンサルティング会社Capgeminiで北米地域のチーフヒューマンリソースオフィサーを務めるテクラ・パリサンドラー氏は、さまざまな企業の人事コンサルティングを手掛けてきた。パリサンドラー氏はコンサルティングを進める上で、顧客企業の人事部門との間で「新しいコミュニケーション方法を検討する必要があった」と振り返る。
顧客企業そのものはハイブリッドワークを導入していても、Capgeminiの従業員がやりとりする担当者が、直接会って話すことを好むことがある。そのためCapgeminiが顧客企業と面談の約束をするときには「この従業員は、この日はオフィスに出社しますが、別の日だと出社しません」と伝えて日程調整をしなければならなかったとパリサンドラー氏は説明する。「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック(世界的大流行)を経て、ビジネスコミュニケーションツールを使えば、こうした交渉をうまく進められることを学んだ」(同氏)
Capgeminiでハイブリッドワークを選択する従業員は北米の各地にいる。そのためパリサンドラー氏は、オンラインでの従業員同士とのやりとりを容易にしたいと感じていた。
「当社は従業員の間で深い関わり合いと協力体制を実現すること、顔を合わせる時間を持つことを望んでいた」とパリサンドラー氏は話す。そうすれば、オフィスの近くに住んでいなくても、他のチームメンバーや上司とコミュニケーションが取れる“よりどころ”ができると同氏は考えている。
テレワークは一日中オフィスにいるようなもので、物理的にオフィスから離れられないのが問題だ。そのため長時間労働をしたり、一日中メールの画面にくぎ付けになったりといった事態を招きやすい。パリサンドラー氏のチームは、従業員の「燃え尽き症候群」を防ぐために、テレワーカーが仕事から離れる時間について明確なルールを設けた。「従業員が趣味や生活、休憩のための時間を確保できるようにしたい」(同氏)
ハイブリッドワークの導入は、企業の全社的な目標策定に影響する可能性がある。達成すべき目標が、ハイブリッドワーカーにとって最適で現実的なものかどうか――。これを考えることが「重要だった」と、ID管理会社Auth0で人事担当シニアバイスプレジデントを務めるキャロリン・ムーア氏は話す。ムーア氏によると、意味のある目標を少数に絞り込んで実施することが、従業員のワークライフバランス向上につながる。
中編は、ハイブリッドワーカーのための支援策「従業員が人事評価で不利益を被らないための策を立案し、実施する」を紹介する。
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