HDD、SSD、テープを「電力」で比較 電力を食わないストレージとは?環境に優しいストレージ運用法【後編】

ストレージの電力使用量を減らすには、ストレージがどのような方法でデータを読み書きしているのかを知ることが重要だ。環境に優しいストレージ運用に必要な、基本的な知識を整理する。

2022年03月31日 08時15分 公開
[Paul KirvanTechTarget]

 中編「ストレージの電力使用量を下げる具体的な方法 『クラウドで解決』実は難しい?」に引き続き、本稿はストレージの電力使用量を低下させるための具体策を紹介する。本稿が注目するのは、電力使用量に直結する媒体ごとの特性だ。

 例えばHDDはディスクを回転させ、アームをディスク表面で前後に動かすために電力を必要とする。HDDは熱を発するので、冷却するための空調設備の電力も要る。ここでは媒体ごとの特性を踏まえ、電力使用効率の高いストレージ運用につながるポイントを紹介する。

HDD、SSD、テープを「電力使用量」の視点で整理

HDD

 HDDを使用していないときに、低電力モードに切り替えられるストレージを導入する。HDDに限った話ではないが、複数のサーバをサーバ仮想化によって1台に集約することでハードウェアの数を減らせる。

SSD

 SSDは電流信号でデータの読み書きをするため、HDDのアームのような可動部がない。そのため電力使用効率が比較的高い。

テープ

 テープストレージは、テープ自体は発熱しないため、低消費電力ストレージ(グリーンストレージ)の代表格となる。ただしテープドライブや関連ハードウェアは発熱して電力を消費する。

「グリーンストレージ」を始めるには

 既存のストレージをより環境に配慮したものに変えるためには、下記の取り組みが有効になる。

  • データセンターのIT機器の電力使用量を調べ、ストレージの1GB当たりの使用電力を可視化する
  • 使用していないストレージを特定し、シャットダウンする。将来の再利用のための準備も忘れずに実施する
  • クラウドストレージに保存しているデータと、オンプレミスのストレージに保存しているデータの比率を調査する。一部のデータをオンプレミスのストレージに戻すことで、クラウドストレージの利用を減らせる
  • 使われていないデータを特定して削除する
  • 化石燃料の電力システムへの依存度を下げるために再生可能エネルギーを活用する
  • 環境保護のための自社のコミットメント(公約)を明文化する

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