IBMが、環境インテリジェンスのアプリケーションスイートを発表した。同社は「AI技術、気象・気候リスク分析、炭素会計をまとめたサービスだ」と説明する。実態は何ができるのか
IBMは2021年10月、気候変動に関するアプリケーションスイート「Environmental Intelligence Suite」を発表した。これはAI(人工知能)技術を活用して地球環境に関するデータからインサイト(洞察)を引き出す「環境インテリジェンス」のツールセットで、企業が天候や気候のリスクを予測し、備えるのに役立つ。
Environmental Intelligence Suiteについて、IBMは「AI技術や気象・気候リスク分析、カーボンアカウンティング(炭素会計)をまとめたサービスだ」と説明する。AI技術関連の調査会社Opus Researchのアナリストであるダン・ミラー氏は、「技術そのものは新しいわけではないが、価値のあるものだ」と指摘する。
IBMは、Environmental Intelligence SuiteをSaaS(Software as a Service)として提供する。Environmental Intelligence Suiteは起こり得る環境リスクを自動的に分析する。企業はこれを利用すると、気候リスクを予測し、それに合わせて業務を管理できるようになる。例えば洪水や山火事が発生するリスクを監視可能だ。気候リスク分析を用いて、気候変動や天候が事業に与える潜在的な影響を予測したり、自社の事業が環境にどの程度の影響を及ぼすかを測定し、その結果を炭素会計に反映したりすることもできる。
Environmental Intelligence Suiteの中核となるAI技術と地理空間分析技術は、IBMの研究開発部門が開発した。気象データは、同社の子会社であるWeather Companyのデータを利用している。
ミラー氏はEnvironmental Intelligence Suiteの技術について、「地球温暖化の防止のためにこれまでも使われてきた技術を応用したもの」だと指摘しつつ、「宣伝の枠を超えた称賛すべき取り組みだ」と評価する。「昨今の破壊的な異常気象を見ると、IBMの環境インテリジェンスが提供する、精度の高い気象予測が強く求められている」(同氏)
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