企業のマルチクラウドの採用が進みつつあると同時に、クラウドサービスを利用するときの課題も明らかになりつつある。その課題とは。調査結果から探る。
IT意思決定者を対象とする調査で、回答者の4分の3以上が自社のITインフラとして、複数のクラウドサービスを組み合わせるマルチクラウドを採用していることが分かった。運用管理ベンダーHashiCorpがクラウド戦略の状況調査「State of Cloud Strategy Survey」を実施したところ、3205件の回答が集まった。この調査では、既にマルチクラウドを運用しているという回答が76%に上ったという。同社はマルチクラウドの採用率はさらに高まると予測する。調査では、2021年から2023年にかけてマルチクラウドを採用すると答えた回答者は86%に達した。
大手クラウドサービスのうち、88%と最も多く使用されていたのがAmazon Web Services(AWS)の同名サービスだった。Microsoftの「Microsoft Azure」を現在使用していると答えたのは74%で、Googleの「Google Cloud Platform」(GCP)が61%と続いた。
マルチクラウドの採用率は大企業が高い傾向にある。従業員5000人以上を擁する大企業の回答者のうち90%が、既にマルチクラウドを運用していると答えている。従業員100人未満の中小企業の回答者でマルチクラウドを運用しているのは60%だった。
IT意思決定者の約3分の1(34%)以上が、マルチクラウド採用の最も重要な推進力としてデジタルトランスフォーメーション(DX)を挙げている。それにベンダーロックインの回避(30%)とコスト削減(28%)が続く。
年間のクラウドサービスへの支出は、回答者の40%が10万~200万ドルだったのに対し、27%は10万ドルに満たなかった。約18%は200万~1000万ドル、15%は1000万ドルを上回った。
クラウドサービスの導入を妨げる要因(複数回答)として、回答者の半数以上(51%)が挙げたのがコストだ。39%は当初想定していたクラウドサービスの年間予算を超過しており、その主な理由が、クラウドサービスへの支出の優先順位の変更(29%)や新型コロナウイルス感染症(COVID-19)関連の予期せぬニーズ(21%)だった。
「セキュリティの懸念」をクラウドサービスの導入を妨げる要因として挙げた回答者は47%だった。「クラウドセキュリティに関する最も重要な課題」を問う設問で、一番多かった回答はセキュリティ人材とスキルの不足(26%)だ。それに続いてセキュリティツールが不十分(12%)、リアルタイムのセキュリティ状況の可視化と洞察ができない(12%)という回答が挙がっている。
HashiCorpは、各企業がマルチクラウドを運用することに苦戦していると考察する。その理由として、調査結果からは
などが判明している。
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