「Wi-Fi 6」ブームが着火した“単純過ぎる”理由オフィスの本流になる無線LAN【前編】

企業の「Wi-Fi 6」への投資意欲が急速に高まっている。パンデミックが広がる中で、企業は具体的にWi-Fi 6の何に目を付けたのか。

2021年12月06日 05時00分 公開
[Deanna DarahTechTarget]

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 無線LAN規格「Wi-Fi 6」(IEEE 802.11ax)に、無線LAN業界が熱視線を送っている。業界団体Wireless Broadband Alliance(WBA)は2021年10月、ベンダーなど無線LAN関連企業を対象にした業界調査の結果を発表。回答者121人のうち、約56%が「1年前(2020年)よりも『Wi-Fi』(業界団体Wi-Fi Allianceによる無線LANのブランド名)への投資意欲が強まった」と答えた。特にWi-Fi 6への投資意欲に火を付けたのは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック(感染症の世界的な流行)だ。

 米TechTargetの調査部門Enterprise Strategy Group(ESG)の上級アナリスト、ボブ・ラリバーテ氏によると、パンデミックによってテレワークとオフィス勤務を併用する「ハイブリッドワーク」が広がり、これをきっかけとして企業はWi-Fi 6に強い関心を持つようになった。具体的にどのような事情があるのだろうか。

「Wi-Fi 6」への投資意欲に火を付けた“あの理由”

 パンデミックによってほとんどの従業員にテレワークが必要になり、企業は既存のネットワークに問題があることを発見した。これがWi-Fi 6を含むネットワークの新技術の導入が進むきっかけになった。パンデミックの発生前、ほとんどの企業はテレワーク用のネットワークを十分に整えていなかった。テレワークを実施する従業員割合がごくわずかであればそれが大きな問題になることはなかったが、大半の従業員がテレワークを実施する必要に迫られたことで大きな問題が露呈した。

 企業はパンデミックを機に、脆弱(ぜいじゃく)で安定性を欠くネットワークの刷新に目を向けた。幸いにも、従業員がオフィスにいない方がネットワークの変更はしやすいため、ネットワークの変更は進んだ。パンデミックが長期化するのと同時にハイブリッドワークが台頭し、企業はまた別の問題に直面した。「最新技術を既存のネットワークに導入することもよりも、新しい働き方にネットワークを合わせることの方が重要になった」とラリバーテ氏は話す。

 Wi-Fi 6を活用すれば、ハイブリッドワークに適したネットワークを用意することが容易になる。例えばハイブリッドワークでは従業員がどこにいても参加できるWeb会議が業務の中心になる。従来のオフィスはPCを有線接続することが一般的だった。これはWeb会議には適さない。Wi-Fi 6によって無線接続すればPCの利用場所を問わないため、Web会議に参加しやすくなる。仮にデスクトップPCを使うにしても、Wi-Fi 6での接続はできるため、有線接続は不要になる。

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