AI技術の高度化が進み、人々が膨大なデータを生み出すにつれ、消費するエネルギーが環境に及ぼす悪影響が問題になる。専門家はどのような問題を懸念しているのか。
エネルギーを消費すると、人が排出する主要な温室効果ガスである二酸化炭素が発生する。温室効果ガスは地表付近に熱を閉じ込めて大気を温める。これにより地球の気温が上昇し、生態系のバランスが崩れる恐れがある。
デジタル技術が環境に与える影響を解説した『World Wide Waste』の著者ゲリー・マクガバン氏は、「私たちはエネルギー消費の危機に直面している」と話す。AI(人工知能)技術だけでなく、スーパーコンピュータの構築やデータの収集、保存はエネルギーを消費し、これらの技術の需要が高まれば消費する電力量も増える。
マクガバン氏の推計によると、2035年までに人が生み出すデータは2000Z(ゼタ)Bを超える。「この量のデータを保管するために要するエネルギーは天文学的数値になる」と同氏は語る。
カーボンフットプリント(人間活動が排出する温室効果ガスを二酸化炭素に換算した指標)問題やAI技術のエネルギー消費問題に、まだあまり取り組んでいない企業もある。AI技術のカーボンフットプリント問題は「ある程度企業に認識されているものの、対策はあまり進んでいない」とマクガバン氏は説明する。
マクガバン氏によると、AIエンジンのデータ供給源であるデータセンターは電力効率化に取り組んでおり、2010年以降大きく改善しつつある。専門家の見解では、電力消費に由来する二酸化炭素排出量は、データセンターの二酸化炭素排出量全体の約10%にすぎない。データセンターの設備である建物や冷却システムなども、大量の二酸化炭素を排出する。
データセンターは冷却のために大量の水を使う。気化冷却方式であれば、1カ所のハイパースケールデータセンター(床面積1万平方フィート以上のデータセンター)で1日当たり数百万ガロンの水を使用する。使用した水が冷却過程で汚染される可能性もあり、環境に悪影響を及ぼしかねない。
自社システムが環境に与える影響を抑えるためには、データの量より質に重点を置く対策が有効だ。例えば不要になったデータを削除するとよい。マクガバン氏は「保存から90日経過したデータの90%は使用されない」と助言する。
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