テープはパンデミックによって出荷容量がいったん落ち込んだが、そのパンデミックによって新たな需要も生まれているという。テープが再び脚光を浴びた理由とは。
「LTO」(リニアテープオープン)規格に準拠したテープは2020年に出荷容量が減少したが、再び増える可能性がある。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック(世界的大流行)がテープの良さにスポットライトを当てたからだ。
LTOを策定する業界組織が2021年8月に発表した年次出荷報告書によると、LTOに準拠するテープの2020年の総出荷容量(圧縮時)は10万5198PB(ペタバイト)となり、過去最高だった2019年の11万4079PBよりも減少した。
「減少幅は想定内に収まった」と、この業界組織を構成する一社であるHewlett Packard Enterprise(HPE)のシニアプロダクトマネジャー、ローラ・ロレド氏は語る。業界組織にはHPEの他、IBMとQuantumが参画している。
パンデミックによる影響で2020年の出荷容量は減少したものの “ある影響”から出荷容量は増える可能性がある。
LTO-9の非圧縮時の容量18TBは、前世代の「LTO-8」の50%増になる。まずこれがテープの出荷容量を増やす一因になる。
もう一つの要因はセキュリティ対策としてテープが有効であることだ。企業はオフィス勤務に戻り始めている。テープはオフラインでデータを保管することで「エアギャップ」を作れることから、サイバー攻撃の対策として効果的だ。エアギャップは、テープを物理的にネットワークから隔離することで生まれる。
米TechTargetの調査部門Enterprise Strategy Group(ESG)のシニアアナリストであるクリストフ・バートランド氏は、サイバー攻撃の中でも「ランサムウェア(身代金要求型マルウェア)攻撃が特に猛威を振るっている」と語る。サイバー攻撃者はテレワーカーの脆弱(ぜいじゃく)なネットワークや端末を狙ってきた。
「テープは強力なレジリエンス(回復力)を提供する」とバートランド氏は指摘する。テープは、データの改ざんや消去を防ぐ「WORM」(Write Once Read Many)機能によるデータの不変性を備えるからだ。ネットワークから隔離した状態でのリカバリー(復旧)もできる。
データのバックアップにおいては「3-2-1」という基本的なルールがある。下記の通りだ。
これを拡張した「3-2-1-1」ルールは、さらに1つのコピーをオフラインにすることを提唱する。パンデミックで利用がさらに広がったクラウドサービスを使えば物理的に異なる場所にコピーを保管することはできるが、オンラインであることに変わりはない。これに対して、「エアギャップを作れるテープは真のオフラインを実現する」と、ロレド氏は語る。
パンデミックによって企業はオフィスへの出勤を制限し、データセンターに入ることもできなくなっていた。こうした影響がなければ、2020年のテープの出荷容量は過去最高を更新していたと、IBM、HPE、Quantumらの業界組織は見解を示す。
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