重要度が高まるデータセンター一元管理【後編】
データセンターは「DCIM」でどう変わる? その主要機能と6つのメリット
データセンター運用が複雑化するにつれ、重要性が高まっているのがデータセンターの設備やITインフラを一元管理する「DCIM」だ。その機能や利点を解説する。
データセンターの運用効率や可用性への要求が高まる中、その複雑になりゆく設備とITインフラをどう管理するかは、あらゆる組織にとって重要なテーマだ。従来のツールや手法では限界が見え始めており、より包括的なアプローチが求められている。
こうした中、選択肢の一つとして注目を集めているのが「DCIM」(データセンターインフラ管理)だ。この仕組みにおいてはどのような機能が現場でどう活用されているのか。DCIMの代表的な機能や利点を紹介する。
DCIMの機能と活用例
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連載:重要度が高まるデータセンター一元管理
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DCIMは、サーバやネットワーク、電源、冷却など、データセンター内の設備やIT機器を一元的に管理するための仕組みだ。DCIMの主な機能として以下が挙げられる。
- 物理的なリソース管理
- サーバやネットワークスイッチ、冷却装置、PDU(電源分配ユニット)などの配置に必要な床面積や設計を視覚的に管理できる。
- 資材カタログの活用
- サーバ、ストレージ、ネットワーク機器などの仕様をまとめたライブラリを参照し、機器選定や設計に役立てる。ベンダーによって定期的に情報が更新される。
- キャパシティープランニング
- 今後の機器追加や拡張に備えて、必要なスペースや電力、ネットワーク配線などのリソースを予測し、シナリオを立てることができる。
- 変更管理と監査証跡
- ハードウェアの交換やシステム構成の変更に伴う作業を記録・追跡し、ダウンタイムや障害のリスクを最小化する。要求や作業指示の履歴を残し、監査証跡としても活用できる。
- 他システムとの連携
- 既存のIT資産管理ソフトウェアや監視ツールと連携することで、運用ワークフローの自動化や情報の一元管理を実現する。
- リアルタイムデータの収集と分析
- 各機器の温度、電力消費、パフォーマンスなどの指標をリアルタイムで監視・分析し、異常の兆候を早期に検知することで、システム停止などのインシデントを未然に防ぐのに役立つ。
DCIMの利点
DCIMの主な利点は以下の通りだ。
- アップタイム(システムが停止せずに動いている時間)の増加
- 機器を監視し、収集したデータに基づいてレポートを作成することで、組織はデータセンターの健全性を評価し、機器の交換が必要かどうかを判断できる。
- ITリソース使用の改善
- 企業全体に分散するITリソースの健全性や性能を評価し、電力使用や冷却システム、物理的スペースといった設備リソースの利用状況を把握できるようになる。
- キャパシティー管理の強化
- 新たなIT機器向けのスペースを割り当てられる他、電気系統(パワーチェーン)の管理にも役立つ。
- 予防的インシデント管理の実現
- リアルタイム管理機能を通じて、施設管理者は現在および将来のデータセンターの状態を把握できる。
- エネルギー使用の効率化
- IT機器すべてのエネルギー消費量の測定が可能になる。この情報は、エネルギー使用量およびコストの削減に寄与する。
- 生産性の向上
- 複数拠点のIT機器をリモートで監視できる。これは小規模な拠点の運用にとって特に有用だ。自動化されたアラート機能により、物理的または論理的なコンポーネントを追跡し、速やかな障害対応が可能になる。
DCIMの課題
DCIMにはさまざなな利点がある一方で、導入や運用にはさまざまな課題も伴う。
- セキュリティリスクの増加
- DCIMによって複数のインフラが連携されることで、ネットワーク上の接続ポイントが増え、外部からの侵入経路や攻撃対象が広がるリスクが生じる。
- データのサイロ化と統合の難しさ
- 電力設備、冷却装置、IT機器など多様なシステムからのデータを集約する過程で、互換性の違いや変換処理の手間、データの欠損が問題となることがある。結果として一元管理が難しくなり、運用に支障を来す恐れがある。
- 環境モニタリングにかかる負担
- 温度や湿度などを正確に監視するには、高精度なセンサーの導入が必要となる。導入環境によっては、初期コストや運用コストが高額になる場合がある。
- 老朽化した設備との非互換性
- 古いデータセンターでは、リアルタイムな電力や温度のモニタリング機能が備わっていないことが多く、新たな機器への更新投資が必要となる可能性がある。測定精度の低下や管理コストの増加にもつながる
- 専門スキルの習得と維持の難しさ
- DCIMを適切に運用するには、ソフトウェアや施設設備への深い理解と継続的な実務経験が求められる。運用ルールの整備と順守、人的リソースの確保が導入の成否を左右する。
DCIMの始め方
DCIMを導入する際の健全な戦略は、最小限の機能から段階的に実装を進め、徐々に機能を拡張していくことだ。このような段階的なアプローチを取ることで、移行プロセスの複雑さを軽減できる。
例えば、スプレッドシートによる手作業の管理から脱却し、自動化されたデータセンター資産管理ツールへと移行することで、迅速かつ具体的な成果を得られる。この成果を足がかりに、キャパシティー管理や電力管理、環境モニタリングなど、DCIMの他の領域へと取り組みを広げていける。
DCIMソフトウェアは、自社の物理アーキテクチャや監視体制、変更管理、スケーリング、キャパシティープランニング、資材カタログ作成、データの可視化といったニーズに合ったものを選定すべきだ。
ここで言う「データの可視化」とは、ダッシュボード、トレンドチャート、レポート、ラックや列の立面図、フロアレイアウト図などを通じて、データセンターに関する情報を視覚的に表示することを指す。
DCIMツールは、大規模かつ複雑なプラットフォームになる可能性がある。一度導入すると、後からの変更が困難になる場合もあるため、製品の選定は極めて重要だ。そのため、管理ツールの検討に当たっては、以下の点を確認する概念実証(PoC:Proof of Concept)の実施が強く推奨される。
- 自社のビジネスニーズに合致していること
- 必要なシステムとの連携ができること
- 操作や学習が容易であること
- 将来的な拡張性(スケーラビリティ)や追加機能に対応できること
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