「クラウドにしたら高くなった」を回避 IaaS移行後コストの正しい見積もり方IaaS移行にかかるコストを整理する【後編】

コスト削減を期待してIaaSへとワークロードを移行させたものの、結果的にはコストが下がらず、むしろ高くなった――。こうした“想定外”をなくすために、IaaS移行後に発生するコストを正しく見積もる方法とは。

2022年03月31日 10時15分 公開
[John BurkeTechTarget]

 ワークロード(アプリケーション)をオンプレミスインフラで運用するときと比べて、IaaS(Infrastructure as a Service)で運用するときの方が、コストが高くなる場合がある。もちろんIaaS移行で大幅に運用コストを削減できるワークロードもあるものの、ワークロードによっては運用コストが2〜3倍増えてしまうこともある。既存のワークロードに変更を加えずにクラウドサービスに移行させる「リフト&シフト」方式を採用すると、移行後の運用コストが高くなりやすい。

IaaS移行後にかかる運用コストを正しく見積もる“こつ”

 IT市場には、移行先のIaaSで使用するサーバやストレージ、ネットワークの利用料金を見積もるのに利用できる、さまざまなツールが存在する。これらのツールは大手クラウドベンダーだけでなく、サードパーティーのクラウドコスト管理ツールベンダーからも提供されている。

 IaaS移行コストを見積もるときに忘れてはならないポイントは、現在のオンプレミスインフラにかかっているコストが、IaaS移行が完了したときに直ちにゼロになるわけではないことだ。ストレージアレイやサーバ筐体(きょうたい)の電力供給とメンテナンス、冷却、運用にかかるコストは、使用率が低下することで減少することはあっても、即座になくなることはない。複数のワークロードがこれらのハードウェアを利用しているのであれば、コストがゼロになるまで数カ月を要することがある。

 ストレージアレイやサーバ筐体の運用を担当するスタッフの人件費もかかる。IaaS移行に関わるスタッフがIaaS移行対象外のオンプレミスのハードウェアの運用を担当しているのであれば、そのハードウェアを廃棄するまで運用コストが継続して発生する。データセンターの運用コストは、そのデータセンターを廃止して初めてゼロになる。

TechTarget発 世界のインサイト&ベストプラクティス

米国TechTargetの豊富な記事の中から、さまざまな業種や職種に関する動向やビジネスノウハウなどを厳選してお届けします。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

From Informa TechTarget

お知らせ
米国TechTarget Inc.とInforma Techデジタル事業が業務提携したことが発表されました。TechTargetジャパンは従来どおり、アイティメディア(株)が運営を継続します。これからも日本企業のIT選定に役立つ情報を提供してまいります。

ITmedia マーケティング新着記事

news066.jpg

Metaに潰されないために残された生き残りの道は?――2025年のSNS大予測(Snapchat編)
若年層に人気のSnapchatだが、大人にはあまり浸透していない。一方で、AR(拡張現実)開...

news150.jpg

「猛暑」「米騒動」「インバウンド」の影響は? 2024年に最も売り上げが伸びたものランキング
小売店の推定販売金額の伸びから、日用消費財の中で何が売れたのかを振り返るランキング...

news110.jpg

Netflixコラボが止まらない 「イカゲーム」シーズン2公開で人気爆上がり必至のアプリとは?
Duolingoは言語学習アプリとNetflixの大人気ドラマを結び付けたキャンペーンを展開。屋外...