コスト削減を期待してIaaSへとワークロードを移行させたものの、結果的にはコストが下がらず、むしろ高くなった――。こうした“想定外”をなくすために、IaaS移行後に発生するコストを正しく見積もる方法とは。
ワークロード(アプリケーション)をオンプレミスインフラで運用するときと比べて、IaaS(Infrastructure as a Service)で運用するときの方が、コストが高くなる場合がある。もちろんIaaS移行で大幅に運用コストを削減できるワークロードもあるものの、ワークロードによっては運用コストが2〜3倍増えてしまうこともある。既存のワークロードに変更を加えずにクラウドサービスに移行させる「リフト&シフト」方式を採用すると、移行後の運用コストが高くなりやすい。
IT市場には、移行先のIaaSで使用するサーバやストレージ、ネットワークの利用料金を見積もるのに利用できる、さまざまなツールが存在する。これらのツールは大手クラウドベンダーだけでなく、サードパーティーのクラウドコスト管理ツールベンダーからも提供されている。
IaaS移行コストを見積もるときに忘れてはならないポイントは、現在のオンプレミスインフラにかかっているコストが、IaaS移行が完了したときに直ちにゼロになるわけではないことだ。ストレージアレイやサーバ筐体(きょうたい)の電力供給とメンテナンス、冷却、運用にかかるコストは、使用率が低下することで減少することはあっても、即座になくなることはない。複数のワークロードがこれらのハードウェアを利用しているのであれば、コストがゼロになるまで数カ月を要することがある。
ストレージアレイやサーバ筐体の運用を担当するスタッフの人件費もかかる。IaaS移行に関わるスタッフがIaaS移行対象外のオンプレミスのハードウェアの運用を担当しているのであれば、そのハードウェアを廃棄するまで運用コストが継続して発生する。データセンターの運用コストは、そのデータセンターを廃止して初めてゼロになる。
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