データセンターにはその大きさによってさまざまなメリットやデメリットがある。「大規模」と「小規模」を比較しながら、どの企業にどちらがよいのかを探る。
企業がデータセンターを作るとき、どのくらいのサイズが適切なのかを決めるのは簡単ではない。前編「レガシーシステムなら『小規模』が正解? データセンターの“理想的な大きさ”とは」はデータセンターの最適な大きさを判断するために、物理的な面積よりIT機器の密度を基準にした方がよいと説明した。後編となる本稿は、大規模データセンターと小規模データセンターのそれぞれのメリットを紹介する。
データセンターを作る際に重視する必要があるのは、IT機器や電力使用の「効率」だ。大規模データセンターが小規模データセンターより効率が高い場合もあれば、その逆の場合もある。データセンターの設計はサイズとは関係なく、効率を最優先に考える必要がある。
大規模データセンターには、拡張のしやすさや最新技術の導入しやすさなど、小規模データセンターにはないメリットがある。大規模データセンターはDCIM(データセンターインフラ管理)ツールの使用に向いている。大規模データセンターを作る企業は従業員数が比較的多い傾向があり、DCIM担当を確保しやすいからだ。
小規模データセンターは、仮想化技術を導入することによって効率を高めることができる。IT機器の稼働や冷却に必要な電力量を抑制できるのもメリットだ。システムの移行やデータ保護も小規模データセンターだとしやすくなる。
データセンターのサイズは電力使用量に影響する。データセンターの最適な無停電電源装置(UPS)を選ぶには、複数の判断基準がある。例えば交流電源(AC)は、直流電源(DC)より効率が高い。ただしACにはリアクタンス(電流の流れにくさ)があるため、使用可能な電力量は減少する。
データセンターに必要な電力量を計算するには、「ワット数=ボルト数×アンペア数×力率」の式を使う。力率とは、供給総電力に対する使用可能電力の比率を表す。必要な電力量が決まったら、電力容量の80%でUPSを稼働することを計画しよう。計画負荷が80キロワットならば、力率0.9で112.5キロワットのシステムを使用するといった具合だ。そうすれば、必要な電力量が一時的に急増しても多少の余裕がある。電力システムを重複して設置して容量を確保することも可能だ。
サーバラックの設置が適切かどうかは、データセンターのサイズに左右される。大半のサーバラックは最大幅19インチ(約50センチ)のサーバを収納できる。幅に加え、サーバラックの高さと奥行きも考慮しなければならない。サーバラックの中には、電源とネットワークケーブル用のスペースを用意しているものと用意していないものがある。
ベンダーによってサーバラックの大きさが異なるため、選ぶ際に注意が必要だ。サイズが少し大きくなるだけでも、特にIT機器の密度が高いデータセンターの場合は空気の流れが悪くなる恐れがある。
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