英国のデータセンター業界は、必要なスキルを持つ人材が不足する「スキル危機」に直面している。対策はあるのか。データセンター業界に特化した学習プログラムを教育機関と共に設計した企業に聞いた。
前編「10代向けのデータセンター人材“英才教育”に教育機関が本腰 その内容は」は、英国の技術者養成機関UTC Heathrowが提供する、データセンター業界に特化した学習プログラム「Digital Futures Programme」を紹介した。Digital Futures Programmeのカリキュラムは、データセンター事業者CyrusOneや教育サービスベンダーCNet Trainingを含む複数のデータセンター業界企業が協力して設計している。
後編は、Digital Future Programmeの背景にある英国データセンター業界の「スキル危機」と、考え得る解決策を紹介する。
データセンター事業者CyrusOneのヨーロッパ事業部でシニアディレクターを務めるスティーブ・ヘイワード氏は「データセンター業界を苦しめる『スキル危機』は致命的だ」と強調する。スキル危機とは、その職務に必要なスキルを持つ人材が不足することだ。データセンター業界が継続的に成長するためには「スキル危機に対処する方法を見つけることが必須だ」とヘイワード氏は語る。
データセンター設計の認定機関Uptime Instituteが2021年1月に公開した調査レポート「The people challenge: Global data center staffing forecast 2021-2025」によると、データセンタースタッフの世界的需要は、2019年は200万人だったのに対し、2025年までに約230万人に増加する。
「データセンタースタッフを確保することが西欧の課題になる」とUptime Instituteは指摘する。調査レポートによると、西欧のデータセンター業界は定年を間もなく迎えるスタッフの割合が高い。加えてデータセンターの需要は世界中で高まっている。
Uptime Instituteは調査レポートに「データセンター業界が今後の人材需要を満たす鍵は、OJT(実地訓練)や業界に特化した教育だ」と記載している。Digital Futures Programmeがもたらす人材育成の機会を「楽しみにしている」とヘイワード氏は語り、同様の取り組みが英国全体に広がることに期待を込める。
「スキルギャップはいまだデジタルインフラ業界の難しい課題だ」と、CNet Trainingのプレジデント兼CEOであるアンドリュー・スティーブンス氏は話す。スキルギャップを解消するには「業界に属する人々が手を取り合う必要がある」とスティーブンス氏は強調する。「仕事を得るためのインスピレーション、支援、機会を若者が必要としている今、われわれは若者に多数の機会を提供し、業界に大きな変化をもたらす必要がある」(同氏)
スティーブンス氏は、業界関係者がデータセンター業界のキャリアの機会を紹介し、その機会を若者が得るための準備を支援する必要があると主張する。
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