技術者に対する需要が高まる中、スキルを持つ人材を採用し、会社に定着してもらうために企業は何をすればよいのか。幾つかの例を挙げる。
前編「IT人材不足の真犯人は“これまでのIT人材”への固執だった?」は、調査レポート「Exploring Pathways into Tech Careers」を基に技術職におけるジェンダーギャップの状況を解説した。このレポートは、STEM(科学、技術、工学、数学)分野で働く女性を増やすことを目的とした公益法人WISE Campaign(以下、WISE)が2021年9月に発表したものだ。WISEが2021年2月〜8月に、IT関連職646人を対象に実施した調査に基づく。後編は、企業が技術者をどのように引き付け、定着させればよいかを紹介する。
レポートによると、企業は従業員を新たな職種での就業に向けて再訓練・再教育する「リスキリング」よりも、既存スキルを向上させる「アップスキリング」の方に金銭的支援をしやすい傾向がある。レポートによると、アップスキリングのために講座を受けたことがある人の75%は、講座にかかる費用を雇用主が負担したと答えた。一方でリスキリングのために講座を受講した場合、企業が費用負担したのは54%だった。
従業員の採用や研修について、WISEは幾つかの提言をしている。こうした取り組みは、技術職に就く人材を企業に引き付け、定着させる要因になる可能性がある。
WISEは、女性と男性のスキルの習得方法の違いが、技術者としての役割の違いを生む可能性があると指摘する。女性はプロジェクト管理や事業管理といった分野の研修を選ぶ傾向があるのに対し、男性はシステムエンジニアリングやシステムアーキテクチャといったより専門的な技術系スキルを身に付けるための研修を選ぶ傾向がある。このことが男女間のスキルギャップをさらに拡大する可能性があるとWISEは予測する。
「議論の余地はあるものの、技術職に就くためはコンピュータサイエンスの学位か、少なくとも長期の社内研修が必要だ」と、WISEの最高経営責任者(CEO)であるケイ・フセイン氏は話す。技術職で男女平等を達成するためには、コンピュータ教育における男女比の改善を推進し続けることが依然として不可欠だとフセイン氏は指摘する。
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