ジェンダーの不均衡解消に期待を寄せる声もあるほどに、英国のIT業界で女性の雇用が急増している。女性の雇用が増えた理由とは何か。専門家に聞いた。
英国家統計局(ONS)が2021年11月に発表した雇用統計で、同年7〜9月にIT業界で雇用された人材の大半を女性が占めることが分かった。統計によると、IT業界で働く16歳以上の人は、この期間中に約5万8000人増加し、そのうち女性は4万1000人と、増加分全体の約71%を占めた。
採用コンサルティング企業Harvey Nash Groupのベブ・ホワイトCEOは、2019年初頭から2021年までに「英国のIT業界で働く女性が、15万人近く増えた」と話す。この傾向が続けば「IT業界に長年存在していたジェンダーの不均衡を解消する真の動きが始まる可能性がある」とホワイト氏は期待を寄せる。
テレワークとオフィスワークの両方を取り入れたハイブリッドワークは「女性に合っている」とホワイト氏は考える。ハイブリッドワークが働きやすさを高め、「さらに多くの女性がキャリアを発展させる助けになってほしい」と同氏は言い添える。
技術職にチャンスを求める女性は増える傾向にある。STEM(科学、技術、工学、数学)分野で働く女性を増やすことを目的とした公益法人WISE Campaignが2021年10月に発表した調査では、女性の方が男性よりも技術職の研修を受け直す可能性が高いことが分かった。科学、技術、工学の分野への女性進出を促すキャンペーンでは、技術職の再研修を受けた女性は15%だったのに対し、男性は7%にとどまった。
ONSの雇用統計によると、2021年10月の求人件数は117万件となり、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック(世界的大流行)が本格化する前である2020年1〜3月に比べて約39万件増加した。
ホワイト氏によると、IT業界の雇用増加は全体の雇用の増加に大きく貢献している。ただしデジタルトランスフォーメーション(DX)に対する絶大な需要が続いていることを考えれば、「これは驚くことではない」と同氏は話す。
人材会社Harvey Nash Groupは2021年11月に発表した調査レポート「Digital Leadership Report 2021」で、ITに対する投資増大と新規の採用を計画している組織の数は、記録的な水準に達していると述べた。一方で同レポートは、サイバーセキュリティの専門家やデータアナリスト、テクニカルアーキテクト、開発者の採用の難しさを報告している。
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