より学習者を引き付け、魅力的なオンライン教育を実施するためには、ある程度のITスキルが必要になる。教員のITスキル不足を解消するために、英国はどのように対処したのか。
前編「教員は『オンライン教育』に自信が持てない――その残念な実態とは」は、教育ゲーム開発会社Kuato Games(Kuato Studiosの名称で事業展開)が2021年11月に発表した調査レポートを基に、英国と米国におけるオンライン教育の状況を紹介した。同レポートは、英国と米国で初等教育に携わる教員600人と両国に住む保護者1000人を対象に実施した調査に基づく。教員が自宅でオンライン教育を実施するための設備整備が追い付いていない状況が、レポートから明らかになった。
教員が挙げたオンライン教育を阻む障壁は、適切なITツールやインフラが整っていないこと以外にもある。英国の教員は、オンライン教育を実施する際に、個々の学習者のニーズに応えることの難しさを感じている。
ITツールを使った教育を提供するスキルが教員に不足していることも、オンライン教育を実現するための障壁だ。教員は概して、近い将来にITを重視した教育をするために必要なスキルアップの機会やツールを求めている。
英国と北米の両方で勤務経験のある教員で、教育コンサルタントのカミラ・ロス氏は、英国と米国の両方にとっての主要な問題は「教員のITスキル格差と、ITツールの利用可能性だ」と話す。この問題は一夜にして解決できるものではない。そのためロス氏は、教員にとって必要なITスキルのレベルアップについて、教育関係者が自分たちの意見を伝え、変化を求めて活動しなければならないと述べる。「学習者に最善のサポートを提供するために、教員と保護者が同じことを望んでいるのは明らかだ」(ロス氏)
パンデミックが発生する前から、自身のITスキルの不足を訴える教員はいた。彼らは、コンピューティングなどのIT関連科目を教える自信も、教室でIT製品/サービスを使う自信もないことを認めていた。
英国では、コンピューティングなどのIT関連科目の教え方や、教育にIT製品を活用する方法を教員に教える研修を実施している。英国で教員のIT教育を支援する組織「National Centre for Computing Education」は、2018年11月の設立から2020年末までに、コンピュータサイエンスの中等教育を担当する1300人以上の教員にトレーニングを実施した。小学校8500校と中学校3000校に勤める2万9500人の教員に、IT教育を支援する資料を提供していた。
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