フランスの大手投資銀行Societe Generaleが、データとAI(人工知能)技術に注力している。「データドリブン銀行」を目指すという、その取り組みの中身とは。
フランスの大手投資銀行であるSociete Generale(SocGen)は顧客や当局、スタッフの利益のため、AI(人工知能)技術の利用を増やし、データドリブン型の意思決定に一層重点を置こうとしている。SocGenは、AI技術を利用することで既存のビジネスをより効率的かつ効果的なものにしながら、同時に新たなビジネスモデルの構築もしたいと考えている。
SocGenでは既に、1000人のデータ専門家と65人のデータ主任が、事業全体にわたるデータの利用案件を管理している。その数330件。このうち170件がAI技術によるものだ。同行は顔認証や生体認証、自動与信評価、デジタルマーケティングなどにAI技術を活用している。
「SocGenは文化的および技術的変革に長年取り組んでおり、グループの各事業、職務、地域の全てにおいて、デジタル成熟度を高めてきた」と語るのは、同行CEOのフレデリック・ウデア氏だ。データとAI技術の利用は「当行の既存のビジネスにおける販売と生産を最適化させている」とウデア氏は説明する。データは新たなビジネスモデルを生み出すためにも重要な資産となる。「データドリブン型銀行になることは、われわれの戦略のど真ん中のテーマだ」(同氏)
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大によりデジタルトランスフォーメーション(DX)が加速し、金融部門におけるAI技術とデータの利用が進んだ。SocGenはAI技術とデータを
という4つの主要分野で利用している。
SocGenは既に、複数社でリソースを共有するパブリッククラウドと、特定企業でリソースを専有するプライベートクラウドの両方のクラウドインフラを利用する、ハイブリッドクラウド型のデータレイクを構築済みだ。データの質を向上させ、グループ企業間で適切なアクセスと共有を可能にするツールも利用している。同行は2017年から、システムインフラとしてクラウドインフラを最優先で採用するクラウドファースト戦略に取り組んでおり、クラウドインフラを生かしたシステム開発を加速させてきた。2020年末までにサーバの80%をクラウドインフラへ移行した。今後もさらなる自動化とセキュリティ向上のため、クラウドインフラの活用を推進する。
文化を変える道へ人材を導く取り組みも、着々と進んでいる。この目的のため、25カ国で5000人近くのスタッフが1年以内に訓練を受けることになる。このプログラムには経営陣も参加し、「AI技術とその意味合いに対する綿密な理解力を培い、戦略的なデータドリブンの意思決定を下す能力を構築する」ことを目指している。新たな専門職のスタッフ訓練に役立つリスキリング(再教育)の展開も進める。
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