「スキルブートキャンプ」とは? “エリートIT人材”を産学官で育てる受講者の44%は女性

英国政府が後援する「Skills Bootcamp」は、ITを活用する職場で必要なスキルを身に付けるための講座だ。同講座は「企業が求めるIT人材」を育てることができるという。その理由は何か。

2022年02月16日 10時00分 公開
[Clare McDonaldTechTarget]

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 英国の教育機関や企業で構成するデジタル教育コンソーシアムInstitute of Coding(IOC)は、労働者が技術的なスキルや知識を身に付けるための講座「Skills Bootcamp」(スキルブートキャンプ)を提供している。IOCは2021年12月、同講座を最初に受講した1期生の修了を発表した。

 Skills Bootcampは、ITを活用する職場で必要な技術スキルやビジネススキルを身に付けるための講座で、受講期間は約16週間にわたる。IOCと企業、地方自治体、教育機関が連携して運営しており、英国の複数の大学が開講する。IOCが2021年12月に発表したリリースによると、2022年4月までに40組のグループがSkills Bootcampを修了する。1期生の44%は女性だった。

「スキルブートキャンプ」で“本当に優秀なIT人材が育つ理由は

 ITサービスベンダーFDM Groupの最高執行責任者(COO)で、IOCのインダストリーアドバイザリーボードの議長を務めるシェイラ・フラヴェル氏は「Skills Bootcampの修了者は、技術に関する知識や職場で使えるスキルを習得した」と述べる。修了者は技術分野において「雇用主が求める役割を満たす、望ましい候補者になれる」とフラヴェル氏は自信を見せる。

 今後フラヴェル氏は雇用主にヒアリングして、求める人材の要件を探るという。雇用主が求める要件を聞くことで、求職者にとって就職につながりやすい新しいルートを作ったり、企業にとってより強固な人材供給ルートを作ったりし続けられるからだ。

 英国政府はSkills Bootcampを後援している。そのためSkills Bootcampの受講者は受講費用を支払う必要がない。英国内の大学、地方自治体、雇用主が連携してSkills Bootcampを運営しており、受講者は地域企業のニーズに沿った技術スキルを高めることができる。スキルの高い人材を雇用主が採用できるように、IOCは政府の雇用計画「Plan for Jobs」を利用してSkills Bootcampを開発した。

 Skills BootcampでIOCは、基本的なデジタルスキルを網羅した講座を提供している。英国のどの分野の企業に属する従業員にも、総じてデジタルスキルが不足しているからだ。具体的には「データ分析」や「クラウドコンピューティング」「ソフトウェア開発」「DevOps(開発と運用の融合)におけるデータサイエンス」「人工知能(AI)」「Web開発」「サイバーセキュリティ」といった分野をカバーする。

 1期生は、マンチェスターメトロポリタン大学(Manchester Metropolitan University)でSkills Bootcampを受講した。同校でSkills Bootcampの取り組みを主導するロブ・アスピン氏は「われわれが提供するSkills Bootcampは、ITを活用する現代の職場で重視されるスキルに焦点を当てている」と話す。具体的には「プログラミング」「データベース」「サイバーセキュリティ」といった技術的なスキルと、「デジタルマーケティング」「ビジネスと起業家精神」「雇用適性」といった雇用主が必要とする知識に焦点を当てている。

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