英国のチャレンジャーバンク(免許を取得して銀行サービスを提供する新興企業)で、中小企業(SME)向けの銀行事業を手掛けるRedwood Bankは、創業当初からクラウドサービスに積極的に投資している。前編「“クラウドから生まれた銀行”Redwood Bankが急成長した理由」に続く本稿は、最新技術に投資し、事業の価値を高めるチャレンジャーバンクの動向を説明する。
Redwood Bankが2018年に発行したホワイトペーパー「Redwood Bank: Born in the Cloud」によると、同社の2017年の立ち上げ当時は、金融業界のクラウドサービスへの不信感が理由で、銀行がクラウドサービスを利用することはまれだった。当時はクラウドサービスに対して、セキュリティやインフラ管理の主導権の喪失、金融規制への準拠に関する懸念が「世界中の金融サービスIT業界に広がっていた」と、同ホワイトペーパーは指摘する。
Redwood Bankがクラウドサービスを採用したのは、銀行などの規制産業でクラウドサービスへの認識が変わりつつある時期だった。同社の創設者や投資家は、新しい銀行の業務システムを構築する際に、クラウドサービスのインフラが、安全かつコストパフォーマンスが高く、事業の変化に合わせやすいインフラだと考えた。
SaaS(Software as a Service)とIaaS(Infrastructure as a Service)ベンダーを探す際、Redwood BankはPRA(Prudential Regulation Authority:健全性監督機構)とFCA(Financial Conduct Authority:金融行為規制機構)の規制を受ける金融機関での導入実績があることを条件とした。PRAとFCAは、英国の金融監督機関だ。
チャレンジャーバンクは、自社のシステムが単なる一般消費者向けのアプリケーションではないことを証明することで、事業者向け銀行業界の注目を集めている。これを裏付けるのが、2021年前半に英国のCMA(Competition and Markets Authority:公正取引委員会)が実施したSME向け銀行の顧客満足度ランキングだ。このランキングは英国の市場調査会社BVA BDRCの集計を基にしている。
ランキング付けした4つのカテゴリーのうち3つにおいて、Starling Bankが顧客満足度トップを獲得したとCMAは報告している。Starling Bankは英国でインターネットバンキング事業を手掛けているチャレンジャーバンクだ。
起業家のアン・ボーデン氏が率いるStarling Bankは、チャレンジャーバンクとして、いち早く利益を上げたことでニュースを飾った。チャレンジャーバンクはデジタル化を進めており、一般消費者向け事業と事業者向け事業の両方で着実に事業を成長させつつある。
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