IT人材不足の真犯人は“これまでのIT人材”への固執だった?調査に見る技術者採用とジェンダーギャップ【前編】

技術系人材の需要に、供給が追い付かない――。そうした悩みに直面している企業は、旧来の人材像にとらわれてはいないだろうか。視野を広げれば、技術職を望む新たな人材候補が見えてくる。

2022年02月09日 08時15分 公開
[Clare McDonaldTechTarget]

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 STEM(科学、技術、工学、数学)分野で働く女性を増やすことを目的とした公益法人WISE Campaign(以下、WISE)が2021年9月に発表した調査レポート「Exploring Pathways into Tech Careers」によると、女性は男性よりも、新たに技術職に就くための再訓練・再教育「リスキリング」を受ける割合が高い。同レポートで調査対象となった女性の15%が、技術職のリスキリングを受けていた。男性は7%だった。このレポートは、WISEが2021年2月〜8月に、IT関連職646人を対象に実施した調査に基づく。

「“これまでのIT人材”だけがIT人材ではない」の深い意味

 調査対象となった女性全員が、コンピュータサイエンスといったコンピュータ関連の学位を取得していたわけではない。ただし約70%はSTEM領域の学位を取得していた。残りの回答者はSTEM関連の学位を全く持っていなかった。

 WISEの最高経営責任者(CEO)であるケイ・フセイン氏は、今後人材の需要に対して「コンピュータ関連の学位を所有する人材が足りなくなることは明らかだ」と話す。フセイン氏は、従来採用してきた人材とは異なる背景を持つ求職者から、新たな才能を見いだす工夫が必要だと主張する。「女性やコンピュータ関連の学位がない人材がもたらす発想の多様性は、学位そのものよりも重要だ」(同氏)

 資格だけでなく「職務に求められるスキルセットを重視することが重要だ」と、フセイン氏は雇用主に対してアドバイスする。そうすれば採用できる人材の幅を広げやすくなる。回答者のうち、コンピュータ関連の学位を持っていたのは28%だった。

 より技術的な知識が必要な職務に就くためのスキルを習得する方法については、習得に必要な講座を受けたことがある人の60%が定時制講座を利用していた。女性の方が男性よりも定時制の講座を受けるが割合が高く、女性は33%が、男性は22%が定時制講座を受けていた。

 全回答者の46%は、現在の職務に就くために資格を取った。そのうち74%は、既存スキルを向上させる「アップスキリング」、26%は現在の職務に就くためのリスキリングを資格取得の目的にしていた。男女別に見ると、女性回答者の35%、男性回答者の43%が新たな職務に就くためにアップスキリングに取り組んだと回答した。


 後編は、企業が技術者をどのように引き付ければよいかを紹介する。

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