ドイツ当局が「Microsoft 365」から“あの国”へのデータ流出を懸念か独の学校で「Microsoft 365」使用禁止、なぜ?【第2回】

教育機関で「Microsoft 365」の使用を禁止しているドイツ。その背景には、個人情報保護に関する欧州特有の考えがある。どのようなものなのか。

2023年02月02日 05時00分 公開

 ドイツ連邦と16州のデータ保護監督機関で構成されるドイツデータ保護会議(DSK)は、Microsoftのサブスクリプション形式のオフィススイート「Microsoft 365」(Office 365)を、ドイツの教育機関が使用することを禁止している。その背景には、個人情報の保護に厳しい欧州の動きがある。

“あの国”へのデータ転送を問題視

 Microsoft 365は「本質的に透明性に欠けている」というのが、DSKの見方だ。規制当局が、Microsoftがどのような情報を収集し、何のために使用しているかを正確に評価することができないと、DSKは主張する。そのためEU(欧州連合)の個人情報保護規則「一般データ保護規則」(GDPR)の下ではMicrosoft 365の使用は「不正だ」と、DSKは結論付けている。

 特にDSKが問題視しているのは、Microsoft 365を利用する際、常に個人情報が米国にあるMicrosoftのデータセンターに転送されることだ。DSKはMicrosoftに協力を求め、米国へのデータ転送を確認したという。「米国へのデータ転送がなくならない限り、教育機関でMicrosoft 365を使用することは不可能だ」とDSKは述べる。

 欧州司法裁判所(ECJ)は2020年7月、欧州連合(EU)と米国の間のデータ共有に関する協定「プライバシーシールド」が無効だという判決を下した。米国家安全保障局(NSA)や他の米国情報機関がデータを収集した場合、EU市民のプライバシーが十分に保たれない可能性があるからだという。

 この判決は、オーストリアの弁護士がECJに提訴したことにちなみ、同弁護士の名字(シュレムス)をとって通称「シュレムスII」と呼ばれる。判決では国際データ転送に際し、EUが定めたデータ移転契約のひな型「SCC」(Standard Contractual Clauses:標準契約条項)が法的根拠として十分であるかどうかの疑問も呈した。企業はデータ転送先に対し、EUの法律と同等のプライバシー保護を保証する責任があると、ECJは判断している。


 第3回は、ドイツの規制当局はいつからMicrosoft 365を問題視しているかを見る。

Computer Weekly発 世界に学ぶIT導入・活用術

米国TechTargetが運営する英国Computer Weeklyの豊富な記事の中から、海外企業のIT製品導入事例や業種別のIT活用トレンドを厳選してお届けします。

ITmedia マーケティング新着記事

news074.jpg

ニップンと刀が協業 マーケティングノウハウで成熟市場を拡大へ
ニップンと刀は「ニップン × 刀 協業発表会」を開催し、協業を通じた両社の取り組みとそ...

news197.png

広告運用自動化ツール「Shirofune」がMicrosoft広告の改善機能を実装
Shirofuneは広告運用自動化ツール「Shirofune」に改善カード機能を追加。これにより、キ...

news192.jpg

インテージ、「YouTube Select」「YouTube Shorts」における態度変容調査を提供開始
広告効果測定サービス「Brand Impact Scope」をバージョンアップし、サンプルサイズと計...