VMware Cloud on AWSを利用していたユーザー企業はBroadcomの方針転換を受けて、従来通りにサービスを購入できなくなる恐れがある。今後はどのような選択が可能なのか。
仮想化ソフトウェアベンダーVMwareを買収した半導体ベンダーBroadcomは2024年5月、Amazon Web Services(AWS)による「VMware Cloud on AWS」(VMC on AWS)の販売を終了させた。VMC on AWSは、AWSのクラウドサービスでVMwareのプライベートクラウド構築製品群を利用できるようにするサービスで、AWSと同社の販売パートナーも販売できていた。しかし、2024年5月以降はBroadcomが承認する販売チャネルを通じてのみ独占販売されるようになった。
今後、AWSでVMware製品を利用したいユーザー企業はどうすればいいのか。AWSは新しく「Amazon Elastic VMware Service」を提供している。
AWSは、プライベートクラウド構築製品群「VMware Cloud Foundation」(VCF)のユーザー企業向けに、VMware製品を使うための新たなサービスとしてAmazon Elastic VMware Service(Amazon EVS)を2024年11月に発表した。VCFのユーザーはAmazon EVSによって、AWSのプライベートネットワーキングサービス「Amazon Virtual Private Cloud」(Amazon VPC)内でVCFのワークロード(アプリケーション)を運用可能になる。
Broadcomは2023年のVMware買収以降、 VMware製品の販売とライセンス供与に関して強硬な姿勢をとってきた。「ここ数カ月でその姿勢が軟化している」と米Informa TechTargetの調査部門Enterprise Strategy Group(ESG)のアナリストを務めるスコット・シンクレア氏は分析する。
Broadcomはユーザー企業をVMware製品につなぎ留めることを目指しているため、「ハイパースケーラー(大規模データセンターを運営する事業者)を同社の優先パートナーとする姿勢は続けていくだろう」とシンクレア氏は述べる。「Broadcomにとって非常に重要なのは、VMware製品による運用環境内にアプリケーションを留めておくことだ」(同氏)
先述したように、BroadcomはVMC on AWSを独占販売とする計画を発表し、AWSとAWSのチャネルパートナーによる販売を中止した。
VMC on AWSはBroadcomのマネージドサービスとして引き続き利用可能だが、Amazon EVSを利用することで、VMwareベースのアプリケーションを、AWS内の他のアプリケーションと一緒に実行できるとしている。AWSによればユーザーはVCFの機能やツールを用いてAmazon EVSの管理や監視、自動化が可能だ。
VMware製品からの移行を検討するユーザー企業や、VMwareの代替製品を提供するベンダーについてシンクレア氏は、「VMwareが長年にわたって蓄積してきた機能の幅広さと奥深さに阻まれている」と語る。
Microsoftも同社のクラウドサービス群「Microsoft Azure」で、VMwareの仮想化製品群を利用するためのサービス「Azure VMware Solution」を提供している。
ユーザー企業はAWSとAzureであれば、VMware関連のサービスを引き続き利用できるとしても、「Broadcomの関与なしにはVMware自体の正確なレプリカ(複製)を提供できない」とシンクレア氏は語る。
「Broadcomに対するユーザー企業の怒りは大きい。だが、1対1で対抗する手段はない」(シンクレア氏)
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