メモリは現代のコンピュータにおいて欠かせない存在だ。CPU(中央演算装置)による処理速度の高速化を図る上で、メモリが担っている重要な役割とは何か。メモリが必要になった経緯と併せて覚えておこう。
コンピュータの構成要素として「メモリ」は欠かせない存在だ。CPU(中央演算装置)による処理速度の高速化を図る上で、メモリは重要な役割を担っている。とはいえコンピュータが開発された当初はそうではなかった。メモリが必要になった経緯を踏まえて、メモリとCPUによる処理の関係を押さえておこう。
コンピュータのプログラムには、タスクを反復実行するための「ループ処理」が数多く含まれる。ループ処理では同じ命令を何度も実行し、その後プログラムは別の命令に移動する。関数を呼び出すループなら、同じ関数を繰り返し実行する。
こうしたループ処理は、コンピューティングにおけるローカリティ(局所性)という特性に関係している。ローカリティとは、データや命令へのアクセスがどのように、あるいはどの程度集中しているのかを示すものだ。
ローカリティが高い場合、CPUは同じメモリアドレス空間(メモリアドレスによってアクセスできるメモリ領域)に何度もアクセスすることを意味する。CPUはその後、別のメモリアドレス空間に移動し、同じサイクルを繰り返す。
処理の高速化を考えるとき、システム全体のパフォーマンスを考慮に入れなければならない。発生頻度が比較的低いアクセスは低速でも、繰り返し発生するアクセスを高速化できれば、システム全体のパフォーマンスは向上するはずだからだ。
基本的にCPUは、メモリアドレスの順番通りに命令を実行していく。データを参照する際にもローカリティの要素は影響するものの、より重要なのはCPUのメモリアドレス空間へのアクセスのほとんどが命令に対するものだということだ。そのローカリティを生かせば、有効にアクセスを高速化することが可能だ。
繰り返しアクセスするデータは最速でアクセスできる場所に格納すべきだ。1960年代にその考え方を具現したのがメモリだった。CPUがメモリアドレス空間に順番にアクセスする際、メモリを介して必要な命令やデータを読み取れるようにすることで、比較的小さな遅延で高速なアクセスを実現できるようになったのだ。一方で低速のアクセスで問題ないデータは、HDDやテープといったストレージに格納しておけばよい。
次回は、仮想メモリが生まれた経緯やそのメリットを解説する。
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