「メインメモリ」と「キャッシュメモリ」の6つの違いとは?メインメモリとキャッシュメモリはどう違うのか【後編】

コンピューティングの“黒子”として欠かせないのが「メインメモリ」と「キャッシュメモリ」だ。この2つは何がどう違うのか。

2022年01月24日 08時15分 公開

 前編「いまさら聞けない『メインメモリ』の基礎 どのような仕組みか? 何に役立つ?」と中編「いまさら聞けない『キャッシュメモリ』の基礎知識 “脇役”でも重要な役割とは」は、コンピューティングを支える「メインメモリ」と「キャッシュメモリ」の基本的な事項を解説した。メインメモリとキャッシュメモリには幾つかの相違点がある。主要ポイント6点を整理しておこう。

ポイント1.用途

 メインメモリは、アプリケーションからデータへの高速アクセスを実現する。メインメモリの容量が不十分だと、データ処理がしにくくなる。メインメモリに使われる「RAM」(ランダムアクセスメモリ)として一般的な「DRAM」(ダイナミックRAM)は比較的高価なため、容量を追加する場合は費用対効果を十分に考える必要がある。

 キャッシュメモリはCPU(中央処理装置)の要求に応じて、さまざまなデータを提供する。こうしたデータには、共通のアクセスパターンを持つデータや、繰り返し出力すると計算に時間がかかるデータが含まれる。

ポイント2.容量

 最近のPCの大半は、64bitのCPUと32GB程度のメインメモリで構築される。メインメモリはマザーボード(PCの主要部品を搭載したプリント基板)のメモリスロットによって増設できる。キャッシュメモリは512KB程度までは容量を確保できるものの、メインメモリほどの大容量は確保できない。

ポイント3.CPUとの距離

 メインメモリとキャッシュメモリは、どちらもCPUの近くに配置され、高速なデータアクセスを実現する。キャッシュメモリの方がCPUにより近いため、メインメモリよりも高速化しやすい。

ポイント4.コスト

 キャッシュメモリは、4〜6個のトランジスタを使って設計される「SRAM」(スタティックRAM)で構成される。RAMの一種であるSRAMは、主にメインメモリとして使われるDRAMと比べてデータアクセスが高速な一方、製造コストが高い。

ポイント5.操作

 メインメモリやキャッシュメモリの構成要素であるRAMは、どのような順番でもメモリセル(データを読み書きする最小単位)に直接アクセスできる「ランダムアクセス」を実現する。CPUと直接アクセスするためのメモリインタフェースを備えるのがキャッシュメモリの利点だ。

ポイント6.速度

 キャッシュメモリはCPUまたは隣接チップに組み込まれるため、アクセス時間はメインメモリよりも速く、CPU要求への応答には数ナノ秒しかかからないといわれている。メインメモリのデータアクセスは、HDDやテープといった機械式ストレージだけでなく、SSDなどの一般的なフラッシュストレージよりも高速だ。磁気メディアのデータ読み書き速度はミリ秒単位になる。

TechTarget発 先取りITトレンド

米国TechTargetの豊富な記事の中から、最新技術解説や注目分野の製品比較、海外企業のIT製品導入事例などを厳選してお届けします。

ITmedia マーケティング新着記事

news193.jpg

IASがブランドセーフティーの計測を拡張 誤報に関するレポートを追加
IASは、ブランドセーフティーと適合性の計測ソリューションを拡張し、誤報とともに広告が...

news047.png

【Googleが公式見解を発表】中古ドメインを絶対に使ってはいけない理由とは?
Googleが中古ドメインの不正利用を禁止を公式に発表しました。その理由や今後の対応につ...

news115.jpg

「TikTok禁止法案」に米大統領が署名 気になるこれからにまつわる5つの疑問
米連邦上院が、安全保障上の理由からTikTokの米国事業の売却を要求する法案を可決し、バ...