将来、「量子コンピューティング」の実用化が見込まれる中、活用方法の明確化とセキュリティ対策が課題になっている。量子コンピューティングに注力しているMicrosoftの方針とは。
Microsoftは、量子力学を用いて複雑なデータ処理を実施する「量子コンピューティング」関連の技術開発を進めている。量子コンピューティングの商用化で焦点になるのが、具体的な活用事例とセキュリティ対策だ。Microsoftはこの2つに対して、どのように取り組んでいるのか。
将来、量子コンピューティングが使われる主な分野として、化学や材料科学などが想定されている。Microsoftはこれらに限らず、より幅広い産業での量子コンピューティングの応用を可能にする技術の開発に取り組む方針だ。同社量子部門バイスプレジデントのズルフィ・アラム氏によると、同社はサードパーティー製技術を含むさまざまな量子コンピューティング技術を連携させるサービスの開発を目指している。
その取り組みの一環としてMicrosoftは、クラウドサービス群「Microsoft Azure」で、量子コンピューティングサービス「Azure Quantum」を提供している。Azure Quantumは、QuantinuumやIonQ、Pasqalなど複数の量子コンピューティング企業の製品の利用を可能にする。
量子コンピューティングの応用を目指し、Microsoftは自社での研究にも注力しているところだ。一例が、同社が人工知能(AI)技術とハイパフォーマンスコンピューティング(HPC:高性能計算)を使い、新しいバッテリー材料の発見プロジェクトだ。このプロジェクトでは約80時間で、最適な材料を3200万候補から18候補に絞り込むことに成功した。これはAI技術とHPCの組み合わせが科学的な難問を解決できることを示すもので、量子コンピュータは将来、こうした発見のプロセスをさらに加速させることが期待される。
製薬分野における量子コンピューティングの活用事例としては、タンパク質と金属分子の相互作用をシミュレーションしてがん治療薬の開発につなげるといったことを想定しているとアラム氏は説明する。金融分野では、ビッグデータを分析するのではなく、少量のデータから洞察を引き出す研究に焦点を当てているという。
量子コンピューティングは上記のようにさまざまな活用が期待される一方で、セキュリティのリスクも指摘されている。攻撃者が量子コンピューティングを使うことで、現状の暗号化技術を突破できるようになる可能性がある。
アラム氏によると、Microsoftは量子コンピューティングを使ってもデータを解読できないようにする「Post-Quantum Cryptography」(PQC、ポスト量子暗号技術)の開発に力を入れている。「われわれのPQCは、対称鍵(暗号化と復号の両方に使う暗号鍵)を使用してデータを暗号化し、量子コンピュータでも破ることができないようにする」(同氏)
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本記事は制作段階でChatGPT等の生成系AIサービスを利用していますが、文責は編集部に帰属します。
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