AI関連事業の強化を背景にして、Microsoftの事業が好調だ。特にどの製品・サービスが好調なのか。2025年度第1四半期の業績発表を基に解説する。
Microsoftの2025年度第1四半期(2024年7~9月)の業績は、売上高が656億ドルと2023年の同時期から16%増を記録した。特筆すべきは、人工知能(AI)関連分野がけん引役となったことだ。中には、AI機能の強化を背景にして急速に使われるようになったツールもある。
まず注目すべき点がクラウド事業の成長で、2023年の同時期と比較して22%増の389億ドルとなった。中でも「Microsoft Azure」をはじめとするクラウドサービス群の売上高が33%の伸びを記録した。生産性ツールとビジネスプロセス事業は12%増の283億ドルだった。業務アプリケーション群「Microsoft Dynamics」およびクラウドサービスの売上高は14%増加。これをけん引したのがクラウドERPシステム「Dynamics 365」で、売上高は18%増となった。
特に大きな伸びを見せたのがAI事業だ。MicrosoftのAI事業は、年間のサブスクリプション(定期契約)の更新料だけで100億ドルの売り上げ規模に達する見込みだ。同社のCEOサティア・ナデラ氏は、「AI事業は当社の歴史の中でも最速で売上高100億ドルを達成した」と話す。
ナデラ氏は、テキストや画像を生成するAI技術「生成AI」の活用が広がる状況について言及する。Microsoftはローコード(最低限のソースコードを記述)およびノーコード(ソースコードを記述しない)開発ツール群「Microsoft Power Platform」で生成AI機能を提供しており、顧客のコスト削減と開発時間の短縮を支援している。「これまでに約60万社がMicrosoft Power PlatformのAI機能を活用しており、この数字は2023年比で約4倍に増えている」とナデラ氏は話す。さらに、オフィススイート「Microsoft 365」向けAIアシスタント「Microsoft 365 Copilot」を日常的に利用するユーザー数は、2024年度第4四半期(2024年4~6月)から倍以上に増えたという。
これらサービスの基盤となるAIモデルへの投資についてナデラ氏は、「AIモデルのトレーニングにかかる費用は、各世代の推論エンジンの収益でカバーされる仕組みになっている」と説明する。トレーニングは次世代モデルを構築するためのプロセスと捉えられる。「トレーニングでモデルの回答精度を高めたり機能を拡充したりすることで、より多くの推論の需要を生み出すことができる」とナデラ氏は話す。
「ムーアの法則」によると、コンピュータの処理能力は18カ月から2年ごとに2倍になるとされている。「この論理に基づき、データセンターの設備を毎年アップグレードすることが理想的だ」とナデラ氏は語る。設備は耐用期間の経過とともに減価償却される。MicrosoftがAIモデルのトレーニングにどれだけ投資するかは、同社の顧客がどれだけ推論エンジンを利用するかに左右されるという。
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