「ROIが見通せない」という理由で生成AIの活用に後れを取っていた企業でも、その効果を享受できている実態が判明した。生成AIのROIはどの程度なのか。
テキストや画像などを自動生成するAI(人工知能)技術「生成AI」を業務に活用する動きが広がりつつある。一方で、予算の獲得や経営層の理解を得るのに時間がかかるために、生成AIツールを活用できていない企業がある。
調査会社IDCが2024年11月に公開した調査レポートは、そうした企業にとって朗報になる可能性がある。同レポートは、生成AIの活用に積極的に取り組む企業と、活用に時間がかかっている企業において、AI投資に対するROI(投資対効果)を明らかにするものだ。生成AIの活用に後れを取る企業にも希望を与える、生成AI活用の実態とは。
IDCは回答結果を踏まえて、生成AIの活用に関する習熟度に基づいて回答者を3つのカテゴリーに分類した。
調査では、回答者の43%が「生成AIを使って分析やタスクの完了にかかる時間を短縮できている」と答えた。回答者は生成AIへの投資1ドルに対して、平均370%のROIを達成したという。
レポートによると、リーダーは平均1030%のROIを実現しており、これはラガードよりも高い数字だ。生成AIを導入するまでにかかった期間についても、「3カ月以内に導入した」と答えたのはリーダーの29%、ラガードの6%であり、導入スピードに顕著な差が見られる。
ただしラガードが生成AIを活用できていないわけではない。ラガードも、生成AIに関する投資において290%のROIを実現している。
調査レポートは、企業が独自のAIツールを開発する動きにも触れている。回答者の43%が「Microsoft Copilot」といった既存のAIツールを使用していると答えた。一方、特定のビジネスニーズや要件に合わせて一からAIツールを開発していると答えた回答者は19%、今後2年以内に特定のビジネスニーズや要件に合わせて一からAIツールを開発すると答えた回答者は36%だった。
調査レポートは、調査会社IDCがMicrosoftの委託で実施し、世界各地のビジネスリーダーと、AI技術に関する意思決定権を持つ労働者約4000人が回答した。
調査レポートは、生成AIを使って業務時間を削減した債券信用格付け会社Moody's Investors Service(以下、Moody's)の事例を紹介している。同社の最高製品責任者(CPO:Chief Product Officer)ニック・リード氏によると、Moody'sはAIモデルが利用可能なMicrosoftのクラウドサービス「Azure OpenAI Service」を活用して、市場データの参照や分析を容易にする「データの民主化」を推進している。
そうした取り組みの一例が、Azure OpenAI Serviceを活用したデータ分析ツール「Moody's Research Assistant」だ。Moody's Research Assistantは生成AIを活用して信用調査データや分析結果から洞察を生成できるようにすることで、金融アナリストの業務時間を最大25%削減しているという。
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本記事は制作段階でChatGPT等の生成系AIサービスを利用していますが、文責は編集部に帰属します。
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