米国の研究機関が、HIVの感染予防に関するさまざまな質問をAIチャットbotに投げかけ、その回答精度を評価した。その結果、AIチャットbotはある程度正確な情報を提供できた一方、ある課題も明らかになった。
AI(人工知能)技術を活用したチャットbotは、HIVの感染予防に役立つ可能性がある──米国の研究機関がそんな調査結果を発表した。HIVの感染予防に関するさまざまな質問に対し、AIチャットbotの回答精度を評価した。研究チームによると、AIチャットbotは正確かつ入手しやすい情報の提供には長けている。その一方、“ある課題”が明らかになった。
カリフォルニアHIV/AIDS政策研究センター(CHPRC:California HIV/AIDS Policy Research Centers)とカリフォルニア大学バークレー校(University of California, Berkeley)公衆衛生学部は、4種類のLLM(大規模言語モデル)を基にしたAIチャットbotを評価した。
研究チームは、感染経路や検査、治療法の紹介など、HIVの感染予防に関連する6つの質問を各チャットbotに提示し、回答の質を評価した。各AIモデルが回答を適切にカスタマイズできるかを評価するため、性自認や識字レベル、居住地から3つのペルソナを作成し、プロンプト(情報生成のための質問や指示)に組み込んで検証を実施した。HIVの感染リスクが高い人々のグループに、正確かつ個人の条件に最適化した情報をどの程度提供できるかを検証するためだ。
分析の結果、各チャットボットの回答は全体的に正確で中立的だったが、理解しにくいものもあった。回答の中には、差別的な表現を避けきれていなかったものや結論が不明確なものがあったと研究チームは指摘する。
パーソナライゼーションという観点では、AIチャットbotは、回答をかみ砕いて答えることには長けていたが、特定の集団やエンドユーザーのニーズに応じた回答には応じきれていなかった。
研究チームは、AIチャットbotの回答を医療専門家がレビューし、調整することで、HIVの感染予防や治療、啓発の質と効率を向上させるための貴重な手段となり得ると指摘している。
研究リーダーを務めるカリフォルニア大学バークレー校のマリサ・フジモト氏は、HIVの感染予防と治療の取り組みを強化する革新的な手法が必要だと説明する。「特にソーシャルメディアを使って情報を得ようとする傾向がある若年層やテクノロジーに精通した層にに対し、デジタルを使った革新的なソリューションを提供することが求められる」と述べる。
「われわれは、AIチャットbotをHIVの感染予防に活用することに慎重ながらも楽観的だ。AIチャットbotは利用しやすく正確な情報を提供できる。医療の専門家のアドバイスと組み合わせて情報を最適化し、サービスを紹介することに適しているからだ」(フジモト氏)
一方、フジモト氏は「HIVの感染リスクが高い人々のグループに向けた包括的なガイダンスをAIチャットbotがどのように提供できるかという重要な課題も提起している」と警告した。
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