新人スタッフの受け入れ時、人事部門にはさまざまな手作業のプロセスが発生する。中にはRPAで自動化できる工程もある。RPAが活用する5つの利用シーンを紹介する。
前編「『RPA』で新人受け入れを楽にする“理想的な導入手順”とは?」に続き、後編も人事部門のオンボーディング(新人の受け入れから戦力化までのプロセス)に「RPA」(ロボティックプロセスオートメーション)を活用するメリットを紹介する。業務効率に役立つ具体的な利用シーンは、下記の通りだ。
オンボーディングの過程で非常に重要なのは、新人の登録作業にかかるタスクを把握し、未完了または期限切れの項目を見つけることだ。RPAのソフトウェアロボットは、オンボーディング関連システムの内部や外部のチェックリストをスキャンしてくれる。例えば「Form I-9」(米国における従業員就労資格確認書)の作成や確認といったタスクを洗い出し、人事部門および新人に通知できる。これはコンプライアンスの問題を未然に防止するのに役立つ。
新人のデータアップロードや入力を代行するソフトウェアロボットは、大量の従業員を一度に採用する組織や、新人登録システムがHRIS(Human Resource Information System:人事情報システム)と連携していない企業にとって特に役立つ可能性がある。求人募集は繰り返し実施することが一般的なこともあり、ソフトウェアロボットに任せるのに適している。
企業によっては、新人にIDカードやデスクの割り当て、制服やPCなどの支給を必要とする場合がある。ソフトウェアロボットは、これらの作業を開始するために必要なデータを目的のシステムに入力し、支給作業のトリガーとして機能することが可能だ。
オンボーディング関連システムの中には、他のシステムと連携したユーザーアカウントの作成を実行できないシステムがある。スケジュールに沿って実行できるソフトウェアロボットがあれば、新人の情報をスキャンして、目的のシステムにアカウントを作成し、オンボーディング関連システムの情報を更新できるようになる。これは人事部門とIT部門の両方にとって時間の節約につながる。
銀行口座情報などの給与データは、PDF形式で保存されていたり、給与システムと連携していないシステムに格納されていたりする場合がある。ソフトウェアロボットは特定の様式や新人登録の画面を読み取って、そのデータを給与システムに入力することが可能だ。こうすれば給与管理者がデータを入力する二度手間が省ける上に、データ入力ミスも防止できる。
RPAのソフトウェアロボットはさまざまなオンボーディング作業に利用できる。ただし人が責任を負わなければならない作業もある。
例えばE-Verify(米国政府が無料提供しているシステム。就労資格など労働者の情報を確認できる)を使ったチェック作業をソフトウェアロボットに代行させるのは、システムアクセス規定違反になる可能性がある。E-Verifyは一般的に、ユーザーが自分のアカウントでしかログインできないためだ。このプロセスは手作業でするか、E-VerifyのWebサービスと連携しているシステムでする必要がある。
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