Googleの開発者向け無料AI「Gemini CLI」はどこまで“使える”のかあの“黒い画面”はどう変わる?

Googleは、「Gemini」をCLIから直接操作できるツールとして、開発者向けのオープンソースAIエージェント「Gemini CLI」のプレビュー版を公開した。どのようなタスクに活用できるのか。

2025年08月16日 06時00分 公開
[Beth PariseauTechTarget]

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 Googleは2025年6月25日(米国時間)、開発者向けのオープンソースAI(人工知能)エージェント「Gemini CLI」のプレビュー版を提供開始した。コマンド(命令)を入力することでシステムを操作するための仕組みである「コマンドラインインタフェース」(CLI)を通じて、自律的にタスクを実行させることができる。具体的にどのようなことができるのか。

Gemini CLIの実力とは

 Gemini CLIはGoogleが設計したLLM(大規模言語モデル)「Gemini」をCLIから利用できるようにし、Geminiのさまざまな機能を利用しやすくするツールだ。「Google検索」と連携してWebページからリアルタイムに情報を取得し、AIモデルに提供できる。プロンプト(指示)を特定のワークフローに合わせてカスタマイズしてGeminiを調整できる機能も備えている。

 Googleによると、Gemini CLIはコンテナオーケストレーションツール「Kubernetes」や、クラウドインフラのリソース運用を自動化できる「IaC」(Infrastructure as Code)といった技術と組み合わせて利用することで、開発の自動化や効率化を推し進める。目指すのは、DevOps(開発と運用の融合)のための実用的なツールだ。

 Gemini CLIの無償版は、GoogleのLLM「Gemini 2.5 Pro」に対し、1日当たり最大1000件のリクエストを送信できる。有償版は複数のLLMやAIエージェントの利用や監査ログの取得、データガバナンスの確保といった機能を持つ。

アナリストの見解

 米Informa TechTarget傘下の調査部門Enterprise Strategy Group(ESG)のアナリスト、トーステン・フォルク氏は、「Gemini CLIは簡単なタスクの自動化に最適だ」だと評価する。同氏によると、クラウドベンダーAmazon Web Services(AWS)の仮想マシンサービス「Amazon Elastic Compute Cloud」(Amazon EC2)でのインスタンスの追加や、プログラミング言語「Python」で記述したファイルの検索など、開発現場でよく発生する作業を素早く実行できるようになる。

 調査会社Forrester Researchのアナリスト、デビン・ディッカーソン氏は、「Gemini CLIは、IDE(統合開発環境)やAIエージェントとの連携における体験を向上させる」と考える。具体的には、ソースコードの作成からデプロイ、テスト、品質確認までの一連の流れの作業がしやすくなると同氏は説明する。

AIターミナル市場に本格参入するGoogle

 Gemini CLIのような、CLIを通じてAIエージェントを操作できるツールは「AIターミナル」と呼ばれる。GoogleはGemini CLIの投入によって、AIターミナル分野に本格参入することになった。この分野では、「Aider」や「Claude Code」「OpenAI Codex CLI」「Warp」「Wave」など、ツールがひしめいている。MicrosoftやAWSなど大手クラウドベンダーもAIターミナル市場に参入済みだ。

 大半のAIターミナルは、主にテキストを生成できる。GoogleはGemini CLIについて、テキストだけではなく、画像や動画の生成も可能だと説明する。Gemini CLIは動画生成ツール「Veo 3」や音声認識ツール「Chirp」と連携し、エージェント間で文脈を共有する通信プロトコル「Model Context Protocol」(MCP)経由で画像や動画を作る。この仕組みを利用すれば、コーディングだけではなく、マーケティング素材の作成といったタスクも実行可能だ。

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本記事は制作段階でChatGPT等の生成系AIサービスを利用していますが、文責は編集部に帰属します。

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